荒川の佐吉。

こんばんは。


暑い暑い東京です。

37℃を超えました!


歌舞伎座に行きたいけど昼夜どちらがお勧め?

最近よく聞かれます。


聞かれることが多いから、

30秒程度でストーリー&見どころをざっくりですが、

しゃべることができるようになってしまいました。


人の好みはそれぞれなので、

同じことを話しても反応が様々で面白いです。


個人的には両方観てほしいし、お勧めは夜の部なのですけど(笑)

歌舞伎を知らない人に荒事をイメージしてもらうのは難しいです。

歌舞伎の魅力をもっとわかりやすく話せるようになりたいです。



4日に夜の部、5日に昼の部を拝見しました。

クールダウンした今、

一番心に残っているのはいろんな意味で猿之助さんの佐吉。


元々「荒川の佐吉」が好きで世話物好き。

私自身が江戸っ子です。

一度テンション上がるとまさに「火事と喧嘩は江戸の華」

切った張ったの大立ち廻りにワクワクするタイプ。


火事と喧嘩が好きというわけではないですよ(笑)

江戸っ子はこれだけ威勢がいいという意味です、ちなみに。


佐吉の世界観はいわゆる任侠もの。

やくざに憧れる佐吉ってどうよ!と一瞬思うけど、

当時はカッコよく見えたのだと思います。


私が世話物が好きなのは、

江戸時代の人たちがキラキラして見えるから。


生きることに緊張感を感じるというか。。

現代よりも、人間に生命力がみなぎっているというか。。

江戸時代を知るわけではないですが、

それを教えてくれたのが勘三郎さんであり、三津五郎さんでした。


やくざの世界も、緊張感あり、男気があり、

精一杯生きてる感があったのではないかと想像します。

だから憧れる。

「強い者が勝つのではなく、勝つ者が強い」というセリフ。

強さとは何なのかと考えてしまう。


猿之助さんはどうして「荒川の佐吉」をしたかったのかな。

演目を知った時からずっと思っていました。

先代が何度か演じ、当たり役と言われたことも理由かもしれない。

おもだか屋の7月だから猿之助四十八撰でもよかったのでは?なんて思ったり。

ただやりたかったのかもしれない(笑)


でも、勘三郎さんが佐吉をなさった時の話を知り、

何だか勝手に腑に落ちたような気がしました。


調べると、勘三郎さんは佐吉を演じた時、

尊敬する島田正吾さんという新国劇(今はない劇団)出身の役者さんに教えを請い、

歌舞伎座での上演時には相政役でご出演願ったそう。


島田さんは佐吉を昭和9年に演じ(荒川の佐吉の初演は昭和7年)

90歳を超えても、なお現役で佐吉を演じたそうです。

2004年に98歳で鬼籍に入りました。


勘三郎さんも昭和の時代劇を素晴らしいと思っていて、
その芸を繋いでいかなければと考えていたのかな。


猿之助さんは、以前言っていました。
昭和の素晴らしい時代劇を後世に繋いでいきたいと。

2月博多座の「男の花道」「雪之丞変化」を上演する意味はそこにあります。

「荒川の佐吉」もまた、その一つと考え、
ずっと心の中で温めて上演機会を待っていたのかと想像すると、

歌舞伎座の7月に佐吉をかける想いの大きさに感動します。


自分はこういうこともしていきたいのだ、と

天下!?の歌舞伎座で宣言したような。


そして、もしかしたら勘三郎さんと猿之助さんの佐吉に対する志は、

似ているのかもしれないと妄想するのです。


仁左衛門さんはカッコよすぎる佐吉でした。

猿之助さんは観た目は仁左衛門さんよりシュッとしてないけど、

子供を育てたことないけど、

仲間を、大事な人を想いやる優しい心は誰にも負けない。

と信じてます(笑)


拝見した佐吉は、まさにそういう心の人でした。

前半は目立たず、さらっと普通な人。

だんだんと魅力的になっていく。


猿之助さんの佐吉が、良い意味で裏切られたと思いました。

もっと作り込んでくるかと。。

それが、私が猿之助さんの素はこういう人だろうなぁ。。

と想像する自然体で優しさ溢れる佐吉だったから。


卯之吉に対してのデレデレ具合や、

辰五郎との想い合い、

相政に、卯之吉を返すのを駄々をこねるように嫌がる様子。。


ルフィを引き合いには出したくないのですが(笑)

仲間がいないと生きていけない自信がある。。というルフィを思い出した。

本当は寂しがり屋。


佐吉の決断を悲しく想う人も多いかもしれない。

でも、大事な人のために身を引き、役立てることは、

辛い決断だったとしても幸せなのだと思う。


花道を行く猿之助さんのお顔は力強くまっすぐ前を見ていました。

進む道は明るいのだと予感させる。


愛情とは思いやる心。

惚れ惚れするほどいい男。



初役ですし、猿之助さんは模索中なのかもしれない。

こういうことはけっこうあります。

ルフィは最高に模索していたし(笑)


いつか。。佐吉と言えば猿之助!になると信じています。

今月はその第一歩です。

私には猿之助さんが目指す方向が少し見えたような。。

千穐楽までどう進化していくかワクワクします。



気持ちいいくらい思いっきり佐吉を演じる猿之助さんを

来週も楽しみにしています。




aya。

aya's lounge

歌舞伎に出合って 何だか人生変わりました。

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