沓掛時次郎@国立大劇場

こんばんは。

朝は大雨だったのですが、

お昼には青空が広がりました。


恵比寿ガーデンプレイスには、

毎年恒例のバカラのシャンデリア。

これを見ると年末を感じます。


ワンピース歌舞伎はいよいよあと3公演です。

そう考えただけで胸がいっぱいになります。


楽屋には猿之助さんから「感謝」のお弁当が届いたと、

役者さん方がSNSにアップしてくださいました。

猿之助さんは今どんな想いだろう。


思いがけず、今年の猿之助さんの舞台姿の見納めは、

ワンピース初日になってしまいました。


でも約二か月間、お芝居の中に猿之助さんを感じることができました。

救われました。

あと少し。。私も感謝を届けたいです。



さて、国立大劇場のお話。


二つの演目「沓掛時次郎」は、

1928年(昭和3年)に初めて新国劇で上演されました。

作者は長谷川伸です。


長谷川伸と言えば、

私は「一本刀土俵入」が記憶に新しいです。

猿之助さんが今年6月に歌舞伎座でお蔦を演じました。


8月には中車さんが「刺青奇偶」を演じました。

12月にも「瞼の母」が上演です。

気がつけば最近は長谷川戯曲を観る機会が多いです。


「沓掛時次郎」は歌舞伎では41年ぶりなので初見ですし、

話の内容も読まずに観に行きました。


梅玉さんの時次郎の立ち姿がスッキリしてカッコイイ!


博打打の時次郎。

一宿一飯の恩義を受け、義理で三蔵を斬りますが、

三蔵の女房’おきぬ’と子供’太郎吉’まで命を狙われてしまい、

二人を連れて逃げ、旅にで出ます。


一緒にいるうちにお互いに情が湧き、家族のように。。

実は、おきぬは三蔵の子を身ごもっています。

時次郎は博打打から足を洗っていました。


出産の日が近づきますが、

生活は苦しく、お金の都合がつきません。

時次郎はお金のために密かに喧嘩の助っ人を請け負います。


無事に戻ってみると、

おきぬは子供とともに亡くなっていました。。


’一宿一飯’の恩義なんて、

もう現代ではわからないでしょうね。

でも昔は宿や食事をご馳走になったことに恩を感じ、

こういった世界では人を殺してしまうこともある。


旦那さんを殺した人と旅に出るのもすごい。

旦那さんも同業で覚悟はできていても。


でもそれは時次郎の人柄なんだろうなぁと

梅玉さんを観ていて思いました。

男気があって、一本筋が通り、腕が立つ。

惚れちゃう(笑)


時次郎に殺される三蔵は松緑さん。

前の演目の悲哀たっぷりな坂崎もいいけど、

任侠道をいくキレキレな松緑さんもすっごく好き。


子煩悩なところもあったかい。

三蔵とおきぬの子供、太郎吉は左近くん。

ずいぶん成長して胸が熱くなりました。

新歌舞伎ですから台詞劇。

感情がこもっていて言葉が心に響きました。


おきぬは魁春さん。

気丈で優しい。大きな器なんだけど慎ましくて素敵。


時次郎と次第に惹かれ合っていく様子が、

奥ゆかしくてトキメキました。


後半に登場する宿の老夫婦。

橘太郎さんと歌女之丞さんが、これまたいいんだな(笑)

絵に描いたような情に厚い夫婦。

こんな夫婦に出会ったのも時次郎たちの人徳だと思う。


大詰、おきぬとお腹の子が亡くなってしまうのには驚きました。

心の中で「え~~~~」と叫ぶ。

でもこの時代はこういうことも多かったそうです。

出産は今より命がけなのです。


時次郎に喧嘩の加勢をしてもらった親分は楽善さん。

どえらい貫禄で登場して空気を一変しました。


ラスト、残された太郎吉と時次郎で旅に出る。

おきぬへの想いを分かち合いながら幸せになるのだろうなぁ。

花道を行く二人を見ながら、

幸せになってほしいと願いました。


切ないけど、登場人物全員がかっこいいのです。

それぞれに情があり、熱い。


松緑さんの時次郎を観たくなりました。

いつか演じてほしいです。


背景の大道具や絵も素晴らしかった!

私の中では、今月の国立が今年一番のお気に入りでした。

雪景色もあったかく、ラストは明るく開けていました。


すごく楽しかったです。

有難うございました。


26日まで上演中なので、皆様も是非。




aya。

aya's lounge

歌舞伎に出合って 何だか人生変わりました。

0コメント

  • 1000 / 1000