エノケソで想う。
電信柱がゆっさゆっさ揺れている光景は鮮明に覚えています。
東北の皆様には遠くおよびませんが、とても怖い想いをしました。
深夜、友人と何時間も歩いて帰宅しました。
その道中、住宅街では玄関先に住人の方が大勢立っていて、
温かい飲み物やお菓子を配っていました。
「おトイレを使ってください」と声をかけてくれる人もいました。
その時できることを実行している人がたくさんいて、
帰り道は寂しくありませんでした。
本当に感謝でした。
仕事もほぼ全てキャンセルになりました。
こんなことがあるのだと呆然としました。
実際に仕事が先々までキャンセルになると
不安でしようがなかったです。
でも命はありました。
亡くなった方たちのことを想えば、
落ち込んでいるヒマは無いと思いました。
しばらくして歌舞伎が観たいと心に湧き、
劇場に行くと震災前と変わらぬ光景がありました。
先ほど、WOWOWで猿之助さん主演の「エノケソ一代記」を観ました。
TVをつけるとちょうどエノケソが憧れのエノケンについて語る場面。
エノケソは幼い頃、家族でエノケンをよく観に行きました。
そして東京大空襲があり、親を亡くし一人ぼっちになりました。
劇場に行くとエノケンだけが何も変わっていなかった。。
泣きながら笑った。。。。そしてエノケンになりたいと思った。
そんな台詞があります。
猿之助さん自身、東日本大震災で生き方が変化したと言います。
こんな時にお芝居をしていいのか。。。悩んだと聞きます。
エノケソのこの言葉を聞きながら、
猿之助さんは今こんな存在になりたいのではないかと感じました。
台詞に実感がこもり、宣言にもとれたような。
私にとって、猿之助さんが変わらず劇場にいてくれることが、
どんなに有り難いことか。
歌舞伎を観ると、私も頑張ろうと思えます。
あの時を忘れないこと。
生かされていることに感謝して、今できることをしていきます。
3月11日はそのことを強く心に想う日です。
aya。
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