お蔦。
こんばんは。
梅雨らしいがお天気が続きそうです。
歌舞伎座公演はあと8日です。
そろそろカウントダウンです。
今週もまた昼夜の猿之助さんを拝見することできそうです。
「一本刀土俵入」のお蔦さんのことを考えていました。
今月の猿之助さんのお蔦さんは、
若返っているなぁというのが初日の感想です(笑)
浅草初演時の8年前から、
四代目猿之助となり、ワンピースなどの新作を経て、
いろんな経験をして若くなった(笑)
化粧も変わったような気がするし、
言葉も柔らかくなったような気がします。
亀治郎時代、七世芝翫さんのお蔦さんが好きで、
舞台袖からずっと観ていたという。
だから初演時に教えていただいたのも芝翫さんでした。
今回も雰囲気が似ているところがあり感動しました。
でも、前々回より前回より、
猿之助さん自身のお蔦を意識してきたのかな。。
それが若く感じる理由なのかと妄想しています。
年相応になってきた、というか。
猿之助さん本来の(と私は信じている)優しさ、情の深さが、
いつものようにストレートに出てきている感じがしています。
酔っている女性のお茶目さや可愛らしさも増してます。
前にも話しましたが、
お相手が幸四郎さんだというのも大きいと思います。
勘九郎さん(当時勘太郎)中車さんとも相性ぴったりでしたが、
どこか引っ張っているようでした。
今回、先輩の胸を借りて、
とことん幸四郎茂兵衛に合わせた女方に徹しているのを感じます。
そして、ぶつかっていってる。
唄う’おわら節’には哀愁があり、私も母を想ってしまう。
お蔦の故郷は越中八尾(やつお)、富山県です。
「おわら風の盆」という行事で有名ですね。
初日あたりに観に行った時、
唄った後に「うまいっ!」と声がかかりました。
素人さんがかける声は良い悪いは思わずこれも縁と思っていますが、
これは初日付近ならではだったのかと。
その時は拍手しましたし、後日の観劇でも拍手しました。
でも、先日は猿之助さんの演技が変わっていました。
ラストの唄い方を微妙に変え、唄の後に’間’を作らなかった。
たまたまなのかもしれません。
でも’拍手はしなくて大丈夫’という意思だと受け取ってしまった(笑)
お芝居の流れを考えると拍手がないほうが、
自然で素敵だと感じることができました。
YouTubeで歌右衛門さんのお蔦さんを観ると、
やはり拍手なんて起こってない。
全部偶然かもしれないけど(笑)
そういう発見がある日もいいな、と思いました。
そして、猿之助さんがおっしゃる’お蔦はいい女’というのは、
後半にすごく感じています。
お蔦とお君の様子から、幸せを感じるからです。
10年経ってこうなったというよりは、
元々こういう素質を持った女性だったのだと。
そこに10年の人生が重なり、
質素で地味だけど女性として輝いてみえる。
茂兵衛を思い出す瞬間の感情が、
’嬉しい’’ありがとう’ではなく
’申し訳ない’が先に立つように見えるところが素敵です。
後半のお蔦さんに魅力を感じるのは、
私はこの瞬間に尽きるなぁと思うのです。
三階からは花道を去っていくお蔦家族の様子は見えません。
でも猿之助さんの声から三人の姿が想像できます。
「お蔦さん、棒切れを振り廻してする茂兵衛のこれが、
十年前に、櫛かんざし、巾着ぐるみ、意見をもらった姐さんに、
せめて見て貰う駒形の、しがねえ姿の、土俵入りでござんす」
茂兵衛のこの名台詞が身に染みるお蔦さんです。
猿翁さんは茂兵衛を何度も演じています。
四代目もいつか演じる時がくるのでしょうか。。。
ずっとお蔦でいてほしい。
叶う方は是非、歌舞伎座へ。
aya。
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