大石最後の一日。
こんばんは。
今日は歌舞伎座に行ってきました!
「吉例顔見世大歌舞伎」夜の部です。
三つの演目でそれぞれ大看板が主役を務め、
まるでチーム戦のように輝き合っていました。
見応えあり過ぎて体力的にはシンドイ(笑)
一つは舞踊にしてほしかったなぁ。
それでも思うよりはあっという間でした。
こんなに泣けるとも思っていなかったし。。
早野勘平役の仁左衛門さん。
幕切れの微笑みに思わず泣いてしまった。
自分でもびっくり。
今日の私はここで気持ちがマックスなのか!?
と思ったらラストの「大石最後の一日」が最高でした!
何度も観ているお話なのに、こんなに泣けるなんて。
高麗屋三代の襲名前、
三人揃っての最後の演目です。
赤穂浪士47名が本懐を遂げ、
それぞれ三つのお屋敷に分かれてお預けの身になっています。
金太郎くんは、内蔵助たちが預りになっている細川家の跡取り息子 内記役。
時の人になっている大石たちに会いにきます。
金太郎くんの華のあること!
存在感にびっくり。
セリフも朗々と聞かせて場の空気を変えました。
この場面は高麗屋三人が揃う場。
何とも言えない感動を味わうことができました。
内記は内蔵助に「一生の宝になるような言葉を聞かせてほしい」と。
すると内蔵助は「人はただ初一念を忘れるな」
この言葉に満足をして退出する金太郎くんの颯爽とした姿。
短い場面ですが、幸四郎さんとのやり取りはとても印象に残りました。
染五郎さんは磯貝十郎左衛門役。
討入を世間に悟られないよう、’おみの’という女性と婚約をします。
そして討入のために結納当日に姿を消してしまったのでした。
おみのは磯貝が自分のことを本当はどう思っていたか知りたくて
磯貝に会いに伝手を頼って屋敷にやってきます。
初めはおみのを知らないと突っぱねる磯貝ですが、
内蔵助に、懐にいつも持っている琴の爪のことを言われてしまいます。
磯貝もおみのを想い、
ずっとおみのの琴の爪を大事に持っていたのです。
染五郎さんの内に秘めた熱いものが、
押さえた演技から溢れ出ていて心が苦しくなりました。
言葉、所作、気持ち。
一体になり自然。
染五郎さんの人間力みたいなものを感じました。
討入の処分を待つ身。
でも、おみのの強い愛情を感じ、
自分の想いも抑えられなくなる。
二人の間には壁があるのだけど、
心はその壁を貫いて一つになっていました。
おみの役は児太郎さん。
磯貝を慕うまっすぐな愛情が切ない。
悲しい結末だけど、
きっと二人はあの世で結ばれたと思えました。
大石内蔵助役は幸四郎さん。
存在がとてつもなく大きかったです。
出が圧巻。
内蔵助を皆が信頼し、慕っているのが、
舞台の空気で伝わります。
思わず泣いてしまった場面。
浪士たちに切腹が言い渡されます。
そして、吉良家断絶も知らされます。
この時の幸四郎さんの表情に泣きました。
ここで本当に本懐が遂げられたのだと感じました。
喜びというより、救われた感じ。
後ろで聞いている浪士の皆様は、
ずっと頭を下げたままなのだけど、
全員が背中で演技をしているのです。
この光景にもまた涙。
大詰、白装束で切腹場に向かう浪士たちを見ただけで
胸が詰まりました。
おみのと磯貝の究極のラブシーンにも涙。
最後に残る内蔵助が、
皆を送ってから自分もいく。。というようなことを言います。
この瞬間、内蔵助も船長だったのだと思いました。
ともに長い長い航海をしてきたのだと。
赤穂浪士たちの航海はここで終わっても、
想いは未来まで希望として続いていくのです。
「これで初一念が届きまする」
花道で言うこの言葉にもう涙が止まらない。
この一言が、今まで数々観てきた忠臣蔵の物語をフラッシュバックさせる。
私には悲しい響きにも思えたし、
心から救われたような、安心したような響きにも感じました。
幸四郎さんが本当に内蔵助で、
このままいなくなっちゃのではないかと思うくらいでした。
高麗屋三代の集大成だと思いました。
圧倒的なパワー。
お客への感謝も伝わるよう。
きっちりと幕が下りた気分です。
そして、襲名という幕が新たに上がるワクワク感も沸いてきました。
久しぶりにしみじみ泣きました。
これを見逃す手はないです。
襲名前のお三方の覚悟を見せていただきました。
皆様も是非!
有難うございました。
明日は昼の部へ行ってきます。
aya。
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