勧進帳@歌舞伎座
国立劇場「平成30年初春歌舞伎公演」
新橋演舞場「初春歌舞伎公演」
初日おめでとうございます。
今月の歌舞伎公演の全ての幕が上がりました。
東京は四座あり、嬉しい悲鳴です。
全部観ることは叶いそうにないのですが、
これは贅沢な悩みです。
先ほどNHKで放送の「高麗屋 三代の春」
思いがけず猿之助さんもたくさん登場したので嬉しかったです。
襲名公演までの三人の一年間を追ったドキュメンタリーでした。
公演初日を観てからこの番組を見たのはご縁だなぁ。。
と思いました。
昨日の歌舞伎座の熱気はものすごかった。
初春の華やかさ、役者さんの奥様方の華やかさに
お客の賑々しい雰囲気が加わり、
さらに大向うはこれでもかと左右中央からかかります。
1月初日の歌舞伎座の雰囲気は特別。
さらに襲名が重なり厳かな中にワクワクした空気がありました。
昼夜全ての演目を気持ちが前のめり、
こんなにいろんな感情が湧いてきた一日は久しぶりでした。
中でも「勧進帳」は心震えました。
襲名狂言の一つです。
先ほどのドキュメントのラストにも感動しました。
六方で引っ込んだ後の倒れ込みそうになる弁慶を
大勢で支えるシーンは胸が熱くなりました。
新幸四郎さんの弁慶は拝見するのは確か2回目だと思います。
でもやはり今回は全くオーラが違いました。
こんなに激しい勧進帳は観たことがありません。
もう戦いかと思うくらい。
三階からは花道の出がよく見えないのですが、
一階のお客さんが感動している空気がうわ~と上がってきました。
私が今まで拝見した弁慶は、
團十郎さん幸四郎さん吉右衛門さんの印象が強く、
他、芝翫さん海老蔵さんでも観ました。
もちろんそれぞれなのですが、
若いということを差し引いても、
こんなにエネルギーに満ち溢れた弁慶は初めてです。
これを25日間続けるの?
正直そう思うくらい全力以上のものを感じました。
襲名とはこういうことなのだと見せていただいた。
そして、今まさに命が宿った瞬間だと思いました。
命を受け継ぐ。
でももっと激しかったのが吉右衛門さんの富樫です!
富樫のイメージは、冷静沈着なのだけど、
内に秘めた熱いものは弁慶と同じ。
だから言葉で語らなくても心が同調するのだと。
吉右衛門さんは荒ぶる神のような富樫でした。
すごい迫力で、今までの富樫のイメージがひっくり返った感じ。
それこそ弁慶と戦っているのかと思うくらい、
甥である新幸四郎さんに全身全霊で挑んでいるようでした。
受け身ではないのです。
これを25日間続けるの?
また思ってしまった。。
吉右衛門さんが倒れてしまわないのかと心配になるくらい激しい。
でもそこに宇宙的規模の愛情を感じて、
心の底からエライ芝居を観ているのだ。。とただただ感謝でした。
甥への愛情が、弁慶と富樫の男の友情に重なりました。
私の妄想が過ぎるかもしれません。
こんなふうに感じたのは初めてです。
義経を初役で演じる新染五郎さん。
もうびっくりです。
出の花道で振り返る場面でジワが起きました。
ふわっとして凛とした独特な空気感だなぁと。
私も思わず「お~」と声が出てしまいました。
これは、その後の義経が上座に座る瞬間にも感じました。
形を決める前にふわっと空気をまとう感じなのです。
見惚れてしまいました。
さらに!
四天王の豪華なこと!
鴈治郎さん芝翫さん愛之助さん歌六さん。
こちらの4名の握力を背中に新染五郎さんは立派でした。
太刀持ちの子役さんもすごい。
微動だにせず、凛々しくそこにいました。
長唄やお囃子も、役者さんも全てが一体。
お客の気も加わり厳かでドラマティックな勧進帳でした。
ラストのほうで地震がありました。
素晴らしい舞台にお祝いの地鳴りなのかな。。。
でもお芝居の集中は途切れず。
後半にもう一回観に行くので、
どんなふうに進化しているのか楽しみです。
有難い、清められた。
そんな感じです。
パワーいただきました。感謝。
3年ぶりに歌舞伎を観た友人も楽しんだようで、
あっという間で地震にも気がつかなかった!と(笑)
幸せな時間でした。
aya。
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