近松心中物語。
こんばんは。
今日は新国立劇場に行ってきました。
猿之助さんの「雨」や
勘九郎さんの「真田十勇士」を楽しんだ劇場です。
お正月の歌舞伎公演にこの方がいないと寂しい。。。
そうです!猿弥さんです。
今月から来月にかけてはこちらにご出演です。
「近松心中物語」
蜷川幸雄氏演出で一世風靡をした作品。
初演は1979年です。
よく知らないまま、
猿弥さんが出演するということで観に行きました。
私は歌舞伎ファン目線で観ることができて面白かったです。
猿弥さんに大注目し、時代味に感動。
笑いもとるし(笑)
シリアスなところも魅せてくださるし、
誰よりも所作が綺麗でした。
さすが我らが猿弥さん!
近松作品が後世に残っていくには、
こういうやり方もあるのだと妙に冷静に観ている自分もいました。
そして、ものすごく歌舞伎の梅川・忠兵衛の話を観たくなりました。
歌舞伎の手法をたくさん取り入れていました。
特に後半の川や雪景色が布で歌舞伎っぽい。
役者さんがはける時に大判の白い布を使ったり。
降り続く雪は歌舞伎の舞台のようでした。
廻り舞台も場面転換にふんだんに使っていました。
小池栄子さんが真面目に’連理引き’をするのですが、
その前までがコミカルな演技だったので、
お客が笑っていました。
歌舞伎であるシーンなんだけどな。
私は笑えなかった。
堤真一さん演じる忠兵衛は、
羽織を随所で巧みに仕様していて素敵でした。
ストーリーは近松門左衛門の三つの話が元になっています。
「冥途の飛脚」「ひぢりめん卯月の紅葉」その続編「跡追心中卯月のいろあげ」
私は冥土~しか知りませんでしたので少し予習をしていきました。
冥土~は、梅川・忠兵衛の心中物語。
あとの二つは、おかめ・与兵衛の心中と、
生き残った与兵衛の後追い心中のお話。
ようは二組の心中物語を合体させアレンジしてあります。
重すぎる。。。。
遊女 梅川は宮沢りえさん。
忠兵衛は堤真一さん。
おかめは小池栄子さん。
与兵衛は池田成志さん。
宮沢さんは猿之助さんと共演して以来の二度目です。
安定の美しさで情念のオーラ。
基本的に心中物は好きではないのですが、
宮沢さんの激しい愛情には心が動きました。
殺し場の美しいこと。それに尽きます。
堤さんは最初は地味な感じに思いました。
でも。。じわじわきた!
猿弥さんの八右衛門に追い込まれ、
三百両の封印を切ってしまう場面はドキドキしました。
この時のための地味さだったのかと思ったくらい(笑)
堤さんは、かっこよくて切なくて。。
歌舞伎の「封印切」も切ないのだけど、
迫力がすごくて、そこまでの猿弥さんもよくてしびれました。
対するカップルの小池さんと池田さんが面白い。
もともと原作もコミカルに描かれているそうです。
このお二人は新感線コンビですね。
池田さんは「髑髏城の七人」Season鳥の贋鉄斎役で
夏に拝見しました。(笑)
アップテンポなやり取りで面白かったです。
小池さんは艶やかで可愛らしい。
暗い雰囲気の中、お二人の明るさは救いでした。
今回の演出は’いのうえひでのり’さん。
劇団☆新感線も上演中なのにお忙しい方ですね。
振り付けは歌舞伎ではお馴染みの菊之丞さん。
照明は新感線も手掛けるけど、猿之助歌舞伎もなさる原田保さん。
戯曲を書いたのは、
猿之助さんが主演した「元禄港歌」の秋元松代さん。
作り手の皆様がこの顔ぶれなので、
どこか懐かしい雰囲気がしました。
舞台装置、照明、衣装。。
特にライティングはワンピースを思い出すところもあったり、
装置の雰囲気が元禄港歌を思ったり、
音楽のテイスト。。演歌や三味線など。
雪之丞変化を脳裏がかすめたり。。
そういう意味では斬新なことはなかったけど、
「歌舞伎でもなく浄瑠璃でもなく」と
作品説明に書いてあったとおり。
現代の時代劇なのかな。
新しいジャンルのような気がします。
最初に書いたように、
こうして近松作品が繋がっていくといいな、と。
私のように妙に歌舞伎で観たくなる人もいるかと。
ラストの殺し場は歌舞伎役者がしたらどうなるだろうか。。
猿之助さんが梅川なら。。幸四郎さんが忠兵衛がいい。。とか(笑)
七之助さん松也さんでも観たい。。とか(笑)
結局、そんな妄想をしてしまう私です。
それくらい面白かったのです。
そうそう、舞台装置が堤さんにひっかかって倒れるハプニングがありました。
ものすごい音がしたので、
一度はけた堤さんが驚いて戻ってくるも、
池田さんのナイスなアドリブで笑いにもっていった!すごい!
でもケガする人がいなくてよかった。
劇場はとても見やすく、
傾斜がかなりあるので後方でも楽しめます。
ただ、舞台の奥行があるのでセンターで観たほうがいいです。
私は端の方だったので奥まで見えなかったです。
公演は2月18日までです。
楽しませていただきました。
有難うございました。
aya。
0コメント