御所五郎蔵。

こんばんは。


青空が広がり、暑いくらいの陽気になりました。


歌舞伎座の祝幕は、

三階席から全体を見ると絵巻物のように美しかったです。


夜の部のことを綴っています。


四つ目キリは「曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)」

通称、御所五郎蔵。


曽我。。とついていますけど、

調べたところ、その要素は一切出てこないようです。


江戸の伊達男、五郎蔵はとってもいい男。

大名家に勤めていましたが、腰元との不義を言いつけられて追放。

侠客となります。


言いつけたのは、同僚の土右衛門でした。

同じ腰元が好きだったのです。

土右衛門も今は侠客になってしまっています。


二人は敵同士です。

そんな二人が遊郭でバッタリ出くわすところから話が始まります。



松也さんの五郎蔵のカッコイイこと!!


この演目も何度か拝見しています。

昨年は菊之助さん、一昨年は仁左衛門さん。

その前は菊五郎さん、染五郎時代の幸四郎さんなど。


男っぷりは負けてない!

新たな五郎蔵役者の誕生だと思いました。


若さがいいし、

声よし姿よしで華もある。

それだけで満足です(笑)


思い切りがいいから気持ちいい。

何より心をこめて丁寧に演じていて胸が熱くなりました。


というのは、

知人から松也さんのお父様の話を聞いたのも一つあります。


筋書きのコメントにはありませんでしたが、

この演目はお父様の’六代目尾上松助襲名披露’狂言なのです。

1990年の同じ團菊祭です。


共演者がまた豪華で、

子分が菊五郎さん勘三郎さん三津五郎さん。


土右衛門は羽左衛門さん。

与五郎は團十郎さんでした。


同じ團菊祭で初役で挑む松也さんの気持ちはどんなだろう。


松也さんは当時5才くらいです。

記憶はあるのかな。


妄想ですが、

きっといつか。。と目指していたかもしれません。


音羽屋にとってやはり大事な演目で、

当代の菊五郎さん菊之助さんも演じている五郎蔵です。


松也さんの力強いセリフの中に熱いものを感じて、

お父様も喜んでいるだろうなぁと思わずにはいられませんでした。


その一生懸命さに感動しましたが、

次に上演する時が楽しみだとそれ以上に思いました。

今月はスタート。


土右衛門の彦三郎さんは声もよし。

松也さんとバランスがよくて好きでした。


与五郎は坂東亀蔵さん。

このお役は年配の方で観ていたので新鮮。


五郎蔵の恋人 皐月は今は遊女です。

皐月は梅枝さん。


傾城姿が美しい。

五郎蔵のために心にない愛想尽かしをします。

とっても切ないです。


もう一人の傾城 逢州は尾上右近さん。

久しぶりに観た傾城はなんて美しい!


落ち着いた雰囲気で優しさ溢れ、

梅枝さんとはまた違った雰囲気です。



ラストは悲劇。

松也さんの立廻りの形がよくて見惚れました。

ものすごくカッコいい。


右近さんと二人で絵になっていました。

美形な二人なので切ない場面も美しいです。



全体的に若返った御所五郎蔵でした。

歌舞伎座でどう見えるのかと興味深々でしたが、

その前の道成寺の勢いを繋ぎ、

皆さんの思い切りの良さに清々しく劇場をあとにできました。


時間が少し長めなので、

幕見でこの演目だけ観るのもお勧めです。


楽しませていただきました。

有難うございました。




aya。




aya's lounge

歌舞伎に出合って 何だか人生変わりました。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • rio

    2019.05.23 12:28

    @neconomimineconomimiさん、有難うございます。 なるほどあだ名の由来はそこからなのですね。 セリフはまさにそのことを言っていたとは。 松也さんの五郎蔵はまた是非に観たいです。
  • neconomimi

    2019.05.20 15:46

    通りすがりの者ですm(__)m 御所の五郎丸という人が曽我五郎を捕まえたとき、曽我五郎の髪がザンバラになったのが、ザンバラの酔っぱらいを捕らえた五郎蔵のあだ名の由来となっているらしいです。 御所の五郎丸については例えば http://ehon-emaki.meisei-u.ac.jp/juuban/column/c4.html 序幕で、五郎蔵のセリフ 「悪事千里の虎が雨、抜き身のふったその晩は、しかも五月二十八日(曽我兄弟敵討の日、ここで指折り数える仕草)、曽我兄弟が討入りに似た喧嘩から名を売って、あだ名に呼ばれる御所の五郎蔵、…」 とあります。(古い脚本からの抜粋) 指折り数える振りが分かりやすいのでそのあたりで言っているんだなーと私も思って観ています。笑 今月の五郎蔵とても格好よく仕上がって来ましたね。 お邪魔いたしました。