「らくだ」そしてエノケン。
こんばんは。
中秋の名月。
帰り道、綺麗なお月様を見ることができました。
お陰様で忙しく、この勢いのまま三連休に突入です。
しばらく観劇はお預けです。
月末の藤間会、真田十勇士を楽しみにお仕事頑張ります。
歌舞伎座は変わらず盛況のようです。
私も余韻に浸っています。
夜の部の「らくだ」は初見かな。。と思っていました。
シネマ歌舞伎も観ていないし。。
でも、どうやら7年前に吉右衛門さんの久六で観ているようです。
というのは記憶がおぼろげ。
なので初見も同然でした。
「らくだ」は、元は上方落語です。
歌舞伎の一番古い記録は、1948年東劇での上演。
初代吉右衛門の久六、初代猿翁(当時二代目猿之助)の半次コンビでした。
その後たどってみると、17代 勘三郎&初代 白鸚、
8代 中車&14代 勘弥、18代 勘三郎&5代 富十郎などなど。。
最近のコンビは、2008年の勘三郎&三津五郎です。
どのコンビも観てみたいと思いました。
’猿之助’の文字を観た時は嬉しかったです。
当代の猿之助さん中車さんでも、絶対に面白いと思う。
久六が中車さんかなぁ。
★内容に触れますのでご注意を。
さて、今月は新コンビ。
久六は染五郎さん、半次は松緑さん。
ともに初役で臨んでいます。
すっごく面白くて、けっこう笑いました。
でも残念なことに、三階B席まで言葉があまり届かない(泣)
聞き取りずらくて、特に前半の内容がわかりませんでした。
でも、それでも面白いってことがすごいと思う(笑)
長屋の暴れ者、馬吉こと’らくだ’がフグにあたり死んでしまいました。
ちなみに調べると、
「らくだ」は江戸言葉で、体の大きな乱暴者を表したそうです。
らくだ役は亀寿さん。つまりは死人役。
らくだの悪友 半次は、通りかかった紙屑買の久六に、
らくだの家財を売り払ってしまおうとしますが金目のものはありません。
半次は、強気でチャラチャラした感じ。
久六は、おどおどしたキャラです。
その三枚目キャラに笑ってしまいました。
前の「吉野川」の久我之助が吹き飛んだ(笑)
そして、早口言葉のようにまくしたてる場面では、
思わず会場から拍手!染五郎さんすごい。
金目のものはないし、長屋の連中も香典を出さない。
厄介者が死んでホッとしているみたい。
次に半次は、家主にお通夜用のお酒などを要求するが断られる。
さらに「死人に’かんかんのう’を躍らせる!」と家主に脅しをかける。
でも大家さんは応じない。
で、今までのやり取りは全て久六がやらされています。
ついに半次は、久六に死人の’らくだ’を背負わせて家主宅へ。
染五郎さんが死人を怖がりながら背負う場面が笑えます。
弥次喜多の幽霊を思い出す(笑)
死人役の亀寿さんがすごいです。
力が入っていないように見えて、
きっと松緑さん染五郎さんに負担をかけないように、
見えない力が入っているのだと思う。
歌舞伎役者さんの身体能力はこういうところでよくわかります。
それに何だか愛嬌がある(笑)
お顔はすごいおっさんなのですが。。可愛く見えてくる私は変人!?
家主の家の前で、染五郎さんと亀寿さんが超可笑しいのです。
おそらく上手客席からは見えないかもしれないところで、
またドリフかとツッコミ入れたくなるほど、
亀寿さんとじゃれてる(笑)
先に乗り込んだ半次が、家の中で真面目に話しをしている中、
下手舞台は染五郎さんの一人舞台になってます。
そして、家主のお家で半次が大暴れ。
家主は歌六さん、その女房は東蔵さん。
半次は’操って’らくだ’にかんかんのうを踊らせます。
久六が歌う(笑)
怖がる家主夫婦もまた可笑しい(笑)
ついでに怖がる久六も可笑しい。
踊る亀寿さんがさらに面白い。
怖すぎて、夫婦はお酒などを届ける約束をします。
半次は、届いたお酒を久六と一緒に飲み始めます。
すると久六のキャラが変貌していきます。
どんどん上から発言になり、凶暴化していく染五郎さん。
こういう人いるなぁと笑っちゃう。
半次はタジタジになる。
立場が逆転した松緑さんも見ものです。
コメディのセンスありますよね。
ラストは’らくだ’が自ら踊っているというショッキングな絵で幕(笑)
これはウケました。
米吉さんが半次の妹役。
威勢が良くて、粋な女性です。
こういうお役が板についてきました。
亀寿さん、アッパレです!
染五郎さん松緑さんコンビも新鮮でよかった。
また観たいです。
でも、おもだか屋のらくだも面白いと思う(しつこいけど)
猿之助&中車で観たいです。
らくだ役は猿弥さんに少し痩せていただいて。。(笑)
段一郎さんをはじめ一門の皆様もいいと思う。
巡業でかかる「獨道中五十三驛」の化け猫の場面で、
おくら役の段一郎さんの身体能力もすごかったですから!
巡業ではどなたがなさるのでしょうか。
いろんな妄想をして楽しんだ「らくだ」でした。
ポンポン弾む会話も楽しいです。
有難うございました。
’らくだ’の話を調べていて、意外にもエノケンと繋がりました。
年末、猿之助さん主演の「エノケソ一代記」が上演です。
喜劇王と言われたエノケンの偽物のお話。
エノケンは’らくだ’をエノケン一座で上演しているそうです。
弥次喜多や法界坊なども。
これを知り、雲を掴むようなエノケンの話が、
急に身近になってきた。
私はエノケンが亡くなってから生まれた世代です。
共通項ができたようでうれしくなりました。
この冬、猿之助さんがさらにその距離を縮めてくださいます。
イープラスの先行販売の受付が開始されています。
目の当たりにできる日が静かに近づいてきました。
楽しみです。
aya。
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