山科閑居。

こんばんは。


暖かい日が続きます。

明日から三連休、そしてChristmasです。

私は25日がマイク納めです。

いつもどおり務めてきます。


さて、国立劇場「仮名手本忠臣蔵」第三部のお話です。

九段目の「山科閑居の場」を拝見したのは3回目か4回目か。。


でも’雪転し(ゆきこかし)’の場面は初めてだと思います。


大星由良之助は、京都山科に妻息子とともに住んでいます。

由良之助が祇園の一力茶屋から仲居たちを伴い帰宅します。

由良之助は梅玉さん。


仲居さんたちがいることで、七段目をふっと思い出せます。

あの華やかなお茶屋から、雪深い山科へ。

由良之助の心の奥底を表すような舞台背景です。


腰まであるほどの雪の玉が一緒なのが面白いです。

遊びで作った雪玉と一緒に帰ってくる(笑)

でもその雪玉が比喩となって上手く話しに入ってきます。

なるほど。


そして、戸無瀬と小浪が由良之助宅に到着。

前の段と変らず、魁春さんと児太郎さん。


魁春さんの真っ赤なお着物が目に鮮やか。

児太郎さんの白無垢姿が息を飲むほど素敵。


白無垢で疎遠になっている許婚の家に行くのはすごいな。

いつも思う(笑)


二人を迎えて、バッサリ断るのが、

由良之助の妻、力弥の母である、お石。

お石は笑也さんです。


笑也さんがすごくよかったです!

初役だそうですが、品があり、かっこよかった。


山科閑居の一番の思い出は、平成中村座。

勘三郎さんの真っ赤な着物姿。

七之助さんの白無垢姿の美しさ。

二人の義理の親子愛。


でもインパクトがあったのは、孝太郎さんのお石でした。

そのことを思い出していました。

孝太郎さんもかっこよかったです。


笑也さんのこういう古典をなさるのが観たかった。

お石は大役ですから大抜擢ですね。


国立劇場の養成所出身で、猿翁さんが育てた方です。

魁春さんや梅玉さん錦之助さんらと肩を並べているのは感動です。


お役がぴったりだったので、この先当たり役になってほしいです。

魁春さんとの母対決はすごかった。

一歩も譲らない笑也さんは、

女性も戦っているのだと感じさせてくれました。


お石に嫁入りを拒否された母娘は自害しようとします。

本当に切ない。


そこに尺八の音色。

虚無僧姿の加古川本蔵でした。

本蔵は幸四郎さん。


自害しようとする二人の側にお石がやってきて、

祝言を許す代わりに、判官を抱き留めた本蔵の首を!


お石は仇討決行の話ができないから、

難題を言い、祝言を諦めさせようとわざと鬼になっています。


そして本蔵本人が入ってきます。

幸四郎さんの本蔵は、憎たらしい(笑)

でもそれは本心を隠して演技をしているのです。

わざとお石や力弥を怒らせて、自分を刺すよう仕向けます。


とうとう力弥が本蔵を刺してしまう。

力弥は錦之助さん。


なんと錦之助さんも初役だそう。

それに笑也さんと同じ年!親子役です(笑)

でも若い!力弥がハマるからすごいです。


そこに由良之助が登場し、わざと刺されたことを見抜き、

討入することを告白します。


刺されてからの本蔵幸四郎さんは、愛情溢れ優しかった。

第一部で見た刃傷事件の場面が甦ります。

あの時、本蔵が判官を止めなかったら。。。。


三か月それぞれ切腹腹切りを見てきました。

判官、勘平、そして本蔵。

連続して観ることができたのも感慨深いです。

「あの時少し違っていたら。。。」

と胸がキュンと切なくなるのが忠臣蔵の魅力の一つです。


梅玉さんの由良之助は好きだなぁ。

仁左衛門さん吉右衛門さん幸四郎さんとはまた違う。

とても静かな固い意志を内に感じました。


哀しい幕切れだけど、

本蔵が苦しみから解き放たれたのならいいのかな。


残された母娘はどうなるのだろう。。


重厚な場面でしたが、楽しかったです。

有難うございました。



aya。

aya's lounge

歌舞伎に出合って 何だか人生変わりました。

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