義経千本桜「大物浦」
こんばんは。
猿之助さんがblogを連投してくださり感謝です。
更新が時々なのが魅力な猿之助さんです。
最近では染五郎さんが怒涛の更新なので楽しませていただいています。
北京Teamのレポも楽しいです。
さて、歌舞伎座 昼の部の続きです。
義経千本桜「大物浦」
義経一行を襲う知盛ですが、
それを察していた義経に返り討ちにされてしまいます。
戦いを案じて待っている安徳帝と典侍の局、そして官女たち。
典侍の局は時蔵さんです。
十二単衣の時蔵さんは凛として素敵でした。
安徳帝への愛情たっぷりです。
知盛が討たれたと聞かされ、
官女たちと入水して自害することを決意します。
幼い安徳帝の「局と一緒なら恐くない。。」という言葉を聞いた、
時蔵さんの感動がものすごく伝わりました。
安徳帝の右近ちゃんの成長ぶりがすごかったです。
前回とは明らかに違う雰囲気。
役の気持ちになって話しているのが伝わるのです。
「今ぞ知る 御裳裾川(みもすそがわ)の流れには
波の下にも 都あるとは」
右近ちゃんが詠む声が清らかに響きました。
大人の誰よりも大きな声でした。
他の子役さんでも、前回右近ちゃんでも聞きましたが、
今回が一番心にグッときました。
猿之助さんの幼い頃も生で聞いてみたかった。
ほっぺがぷくっとしていて帝顔というか(笑)
福々しくて神々しさすら感じます。
時蔵さんと右近ちゃん。
想い合う姿が感動でした。
知盛が討たれたことを知らせるのが相模五郎の巳之助さん。
前半の頼りなさはどこへやら。
ものすっごく勇ましくなって登場です。
若さ溢れてカッコイイ。
足の親指がピンと立ち、力強かったです。
猿弥さんも存在感あり、壮絶な戦いぶりが伝わります。
そして、白装束が血に染まった知盛が花道から登場です。
もう誰も止められない。。そんな空気感です。
目が怖い。
立ち廻りも重々しく、自分の体から矢を抜いて血をなめる様子は、
異様でもあり、美しくもあり。
でもその勢いが安徳帝の言葉によって鎮められていくのです。
仁左衛門さんの知盛と、右近ちゃんの安徳帝の
二人の場面に自然と涙がこぼれました。
保護され、梅玉さんの義経に抱えられ安徳帝が登場します。
それでも最期の力を振り絞り義経に襲いかかろうとする知盛に、
「これまで面倒を見てくれた知盛の情け。今自分を助ける義経の情け。
どちらも有りがたい。義経を恨みに思うな知盛」
と安徳帝が話します。
右近ちゃんのこの言葉で、
仁左衛門さんの張り詰めていたオーラが緩んでいくのが、
目に見えてわかりました。
恨みにまみれた心でも、救われることがあるのだなぁと。
最期に救われてよかったなぁと思う。
仁左衛門さんと右近ちゃんはずっと見つめ合ったまま。
その絵もまた感動なのです。
右近ちゃんは自分が話していない時でも
しっかりと知盛を目で追っていました。
天才という言葉は好きではないけど、
芝居の空気に溶け込んでいる様子は、天才なのだと感じずにはいられません。
きっとたくさんお稽古も頑張ったと思う。
今までは、知盛が言う「生き変わり、死に変わり、恨みを晴らさでおくべきか」
と恨み節サクレツな場面が好きでしたが、
今回は知盛の心が救われていく場面が一番好きでした。
父である平清盛の悪行の報いだと悟る様子も心が痛かった。
ラスト、碇の綱を体に巻き付けて海へダイブする瞬間も切なかったです。
仁左衛門さんの後ろには海が広がっているのが見えるよう。
梅玉さんに抱えられて花道を行く右近ちゃん。
二人の姿が凛々しくて、救われました。
彌十郎さんの弁慶のほら貝の音が哀しかったです。
猿四郎さん、右左次さんがわかりました。
右左次さんは後半ずっと右近ちゃんを支えていました。
渡海屋幕開きの猿四郎さんも風情がありよかったです。
観ることができてよかったです。
仁左衛門さんの知盛が好きです。
有難うございました。
aya。
0コメント