一條大蔵譚の思い出。

こんばんは。


雷雨に驚きました。

皆様は大丈夫でしたでしょうか。


さて、先週は国立大劇場に行ってきました。

平成29年7月歌舞伎鑑賞教室「鬼一法眼三略巻 一條大蔵譚」

(きいちほうげんさんりゃくのまき いちじょうおおくらものがたり)


客席はほぼ学生です。

新鮮な反応をいつも楽しみにしています。


観劇料がお安いし、見た目楽しい演目立てのことが多いので、

歌舞伎をご覧になったことがない方にお勧めです。


二階席は舞台に近く見やすいです。

鑑賞教室とあり、舞台両サイドには電光掲示板がありました。

義太夫の語りが表示されます。


本編の前に「解説 歌舞伎のみかた」があります。

坂東亀蔵さんが淀みないトークで歌舞伎解説です。


いやいやいや勉強になりました!

滑舌、緩急、間。。ものすごい安定感。

解りやすくて正統派トーク。


私のまわりはメモをとっている学生が多かったのですが、

書きやすかったと思います(笑)


幕間を挟んで「一条大蔵譚」


このお話は、吉右衛門さん仁左衛門さん菊五郎さん、

若手では染五郎さん、亀治郎時代の猿之助さん、歌昇さんの

大蔵卿で拝見しました。


初めて大蔵卿を観たのは亀治郎さんでした。

2009年浅草歌舞伎です。


今でもはっきり覚えているのは、

亀治郎さんの出が印象的だったこと。

造り阿呆のお公家さんがとても可愛らしかった(笑)


記憶は美化されますし、

8年前のことなので細かなところはうろ覚えですが。


その時にしか観たことがない「大蔵館曲舞の場」がありました。

真剣を持って舞う「曲舞」を、

大蔵卿が、実は敵の八剣勘解由(やつるぎ かげゆ)と舞うのです。


舞いながら大蔵卿の命を狙う勘解由。

大蔵卿は阿呆のフリをしたまま舞うのですが、

本当はなかりデキル人なので、

上手くかわしてあしらっていきます。


はんなりした雰囲気だけどスキがない。

そのあしらい方が巧みで覚えています。


そのシーンは今でもほぼかからないので、

亀治郎さんで観ただけになっています。


また、大詰はとてもエキサイティングでした。

造り阿呆と正気の切り替えが本当に上手かった。

ただただ、すごいなぁと。


ストーリーの意味など全くわからず、

ものすごく面白かったので友人とリピートしました。


このお話って面白いんだ。


その印象が変わったのが吉右衛門さんの大蔵卿でした。


平家全盛の世。

源氏を応援し、その時を待っている大蔵卿。

生き延びるために’造り阿呆’をするしかなく、

心の内を誰にも打ち明けることはありません。


そうして長い間、一人で戦ってきた孤独。

その哀しみを感じたのが吉右衛門さんでした。

大詰では切なくて泣きました。


仁左衛門さんの時もそうでした。

ラスト、正気から造り阿呆に戻る時、

何とも言えない哀しみが胸を刺しました。


その孤独を感じてからは、

前半の造り阿呆の場面を見る目が変わりました。


大蔵卿が赤ちゃんのような笑顔をするたびにキュンとする。

このようにしなければ生きていけない寂しさ。


今の猿之助さんが演じたらどうなるのかな。

演じてほしい演目です。


いろんな観方があります。

大蔵卿の巧みな変化だけでももちろん楽しいお話です。


菊之助さんの初役の大蔵卿。

第一歩を観ることができたことが嬉しかったです。


感想は続きます。




aya。

aya's lounge

歌舞伎に出合って 何だか人生変わりました。

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