再桜遇清水@歌舞伎座
こんばんは。
いよいよワンピースのお稽古開始です。
役者さん方のSNSも楽しみの一つ。
初演の時はなかり盛り上がりましたので、
今回はどんな展開になっていくのかワクワクしています。
連休が猿之助さん尽くしで夢のようだったので、
昨日まで調子にのって書きたいことが止まらず(笑)
まだまだあるのですが、歌舞伎座のお話。
「秀山祭九月大歌舞伎」夜の部を観てきました!
吉右衛門さんが松貫四という名前で脚本を書いた
「再桜遇清水(さいかいざくらみそめのきよみず)」が、
予想をはるかに上回る面白さです。
良い意味で、何も考えずに楽しく観ることができました。
笑ったし、怖かったし、艶っぽいし、
少しグロテスクな部分もあり、とにかく驚いた。
吉右衛門さんがこういう作品をお書きになるのだなぁと新鮮でした。
’清玄桜姫物’では、
コクーン歌舞伎の「桜姫」が強烈な印象でした。
七之助さんの桜姫が忘れられません。
今月のお話は「遇曽我中村」という作品をもとに、
吉右衛門さんが脚本を書きました。
歌舞伎座では初上演。
今まで演じていた吉右衛門さんは監修にまわり、
染五郎さんが主役の清水法師清玄と奴 浪平の二役です。
前情報を入れずに観たら、
なんと早替りがあるではないですか!
染五郎さん鮮やか!
速くて悔しい(笑)カッコよすぎます。
どちらの役も美しく、
特に白い奴の衣装が眩しくて。
その後、どのお衣装も素敵で見惚れてしまいました。
悲劇は突然やってきます。。
名前の漢字が同じということで、
桜姫の恋の相手にされてしまう僧 清玄(せいげん)。
雀右衛門さん演じる桜姫と本当に恋仲なのは、
錦之助さん演じる千葉之助清玄(きよはる)。
ちなみに清玄(きよはる)の奴が浪平の染五郎さんです。
桜姫に想いを寄せ横恋慕するのが、
胤長(たねなが)の佳三さん。
清玄(きよはる)が桜姫に送った恋文が、
胤長の手に渡ってしまい、
二人が密会しているところを見つかってしまう。
攻められる二人ですが、
桜姫の腰元 山路、魁春さんが機転を利かせ、
大胆にも恋文は僧 清玄が書いたものだと言っちゃった(笑)
読み方は違えど、漢字は同じ。
魁春さんが大胆発言すると、
染五郎さん他、全員が驚いてちょっとズッコケる(笑)
妙に面白くて笑えました。
山路も桜姫を助けるため必死です。
実は僧 清玄は少し前に桜姫を見染ていました。
二人の命を助けるために、恋文を書いたことを認めてしまいます。
そして、衣を取られて寺を追放になります。
ここから物語が俄然面白く、
破戒僧と呼ばれる羽目になった清玄の転落が始まります。
桜姫は悲観して自害しようと、
新清水の舞台から飛び降りますが、助けたのは僧 清玄。
で、口移しでお水を飲ませたりして色っぽいシーンもあり。。
どんどん桜姫を好きになって壊れていく染五郎さんに
客席も唖然というか、惹き込まれてしまうというか。
そこに清玄(きよはる)が現れて桜姫を助けます。
僧 清玄は桜姫の片袖を胸にさまよい続けます。
その後、清玄(きよはる)は山路の父の家にかくまわれていたり、
葛籠に入れられた桜姫がその家にやってきて二人が再開したり。
いろいろあるのですが、
その後の染五郎さんの落ちぶれ方が最高で、
印象が持っていかれました(笑)
桜姫を想いつつ壊れてしまった僧 清玄。
陰気な庵室に住んでいます。
清玄に仕える小姓の児太郎さん米吉さん。
前髪の二人が美しく可愛い。
米吉さんは魚を釣って殺生を、
児太郎さんは清玄の夜のお相手を。
なんという切なさ。。入水してしまいます。
染五郎清玄は桜姫を想い、
’抱きたい抱かれたい。。’と嘆いています。
これは染五郎さんの艶やかな容姿だからこそ生々しい。
吉右衛門さんが演じた時もおっしゃっていたのだろうか。。
苦しむ清玄を介抱した女性を平気で殺してしまう。
最初に見た凛々しい僧侶姿はどこにもありません。
声も地の底から聞こえてくるようです。
そこに、歌舞伎ならではなのですが、
葛籠に入った桜姫が偶然にもその庵室にやってきます。
清玄はここぞとばかり迫ります。
そこに桜姫の奴 磯平の歌昇さんがやってきて清玄を殺します。
ここからの染五郎さんの殺気が怖い。
怨霊となり、磯平を殺し、桜姫を襲います。
会場内が真っ暗で、火の玉は飛ぶし、
幽霊みたいな物体も登場し、体感温度も低くなったような(笑)
怖いよ~
でも正義の味方現る!みたいに錦之助さんが桜姫を助けます。
それでも木には大蛇が巻き付き、
染五郎さんが最高におどろおどろしい化粧。
煩悩にがんじがらめになり、
破戒僧の道を抜け出せず、とことん落ちてしまった。
桜姫への執着は恐ろしく悲しい、
また、失礼な言い方かもしれませんが滑稽でもある。
人生はひょんなことから落ちていくこともある。
恋がきっかけになることもあるかもしれない。
救いはなかったのだろうか。。
染五郎さんのリアリティは心に刺さりました。
雀右衛門さん錦之助さん魁春さんのリアルもそれを支えています。
歌昇さん種之助さんの奴が骨太で、それと対照的に、
米吉さん児太郎さんの小姓の線の細さが際立ちます。
面白くて、私のまわりの皆さん釘付けになっていた(笑)
幕が下りた後、知らない者同士で思わず話しちゃった。
落ちていく染五郎さんが絵になります。
楽しかったです。
有難うございました。
皆様も是非、ご覧ください。
aya。
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