世界花小栗判官@国立大劇場 1

こんばんは。

今日は国立劇場に行ってきました。

「通し狂言 世界花小栗判官」

1月国立の恒例となった菊五郎劇団の通し狂言。

実は私は久しぶりです。

東京の1月は歌舞伎公演の数が多くて全部観ること叶わず。

今年は観ようと思ったのは、

おもだか屋所縁の小栗判官のお話ということ、

ワンピースで活躍した尾上右近くんを観たかったからです。

2011年に亀治郎さん主演でおもだか屋の

「當世流小栗判官」を観ています。

とても面白かったです！

歌舞伎座や浅草歌舞伎とは全く違う雰囲気のお芝居。

ゆったり気分で楽に人物や背景、趣向を楽しめました。

解りやすくて、それぞれの幕で花形が魅せて盛り上がります。

菊五郎さんは悪に徹し、

時々、良い所で登場して’おっ！’となる感じ。

私が観た頃とは印象が変化して

菊之助さん世代が中心になっていました。

小栗判官伝説という話があり、

それを’説教節’に取り入れ芸能に発展し、

現代に至るまで’小栗物’と言われる作品が上演されてきました。

説教節を調べると。。

仏の教えを人々に説き教える時、

節などをつけて話芸で楽しむようになりました。

僧だったり説教師だったりが広めて芸能化していったものだそう。

だからどこか宗教性が香るような雰囲気で、

主人公たちが苦難を乗り越え、

また霊験にあやかる場面が登場します。

小栗物は時代で変化し、

今回も小栗物の決定版「姫競双葉絵草紙より」となっていて、

補綴をして新たな作品に作り上げているようです。

菊之助さんの小栗判官は神聖で清らかな雰囲気。

美しいったらありません！

立役がますます麗しい。キラキラ。

ストーリーはHPをご覧いただきまして(笑)

各幕で四季も楽しめます。

序幕は春。

荒馬’鬼鹿毛(おにかげ)’を判官が乗りこなすのが素敵。

荒ぶる馬にだんだんと信頼されていく様子がわかる。

馬上の菊之助さんの凛としてカッコイイこと。

馬を碁盤の上に立たせる’碁盤乗り’

馬の首の部分をワイヤーで釣り、

前足担当の方ものとも持ち上がります。

まるで後ろ足だけで碁盤に乗っているような絵。

亀治郎さんで観た時はびっくりしたのを思い出しました。

まさにプリンスな菊之助さん。

そして、プリンセスな照手姫、

右近くんとのツーショットは眩しかったです。

右近くんはほっそりしてさらに美しさに磨きがかかりました。

舞台にいると華やかで場が明るいです。

このカップルが困難を乗り越えていくのです。

スモークやストロボ、音楽も洋楽が一部使用されるなど、

今までの公演よりはおとなしめだと思うのですが、

ポイントで使用していて効果的だったと思います。

恒例の時事ネタはいつなのかなぁと(笑)

萬太郎くんの奴は力強く爽やか。

彦三郎さん亀蔵さん兄弟も存在感あります。

海の舞台面が素敵。

そこを馬で菊之助さんが颯爽と現れる。

盗賊の風間八郎、菊五郎さんが美味しいところを持っていきます。

ラストの花道の引っ込みがストロボ。

何人かが長いサラシをはためかせ、

波のように見せていたのは感心しました。

菊五郎さんが波間にいるようでした。

そうそう、時蔵さんの女形、立役を両方楽しめたものドキドキしました。

菊五郎さんと本物偽物で対峙した時は面白かったです。

序幕はてんこ盛りで華やか！

まさに’春’な始まりです。

おもだか屋バージョンでは、

亀治郎さんは、判官、浪平、お駒の三役を早替りで務めました。

だから出ずっぱりでした。

それと、馬のシーンを観ていて猿三郎さんの話を思い出しました。

猿翁さん(三代目猿之助)が落馬した話。

blogを探してみたらありました。

馬の不具合で落馬してしまい、いったん幕。

ふたたび開いた時には、

「馬術にては横に並ぶべき者の居ないこの小栗判官も

連日の熱演でつい油断を致し、この荒馬にしてやられたり。

ふたたびの挑戦、改めて乗り損じなば、御免なれ！！」

（市川猿三郎 二輪草紙より）

この言葉にお客は大喝采だったそう。

ハプニングをお客へのサービスに変えるおもだか屋ならでは。

この場にいたかった(笑)

二幕目は松緑さん演じる浪平が大活躍です。

そのお話はまたこの後に。

aya。