伊達の十役 2

こんばんは。


写真は博多座の中の絵看板です。

とても重厚感があるこの劇場が大好きです。

ロビーには、お土産物屋、甘味、パン、お弁当など、

楽しくて幕間だけでは見物に時間が足りません。


お弁当が美味しかった思い出があるので、

この日は「石田」で購入。

おかずの種類が豊富ですごく美味でした。


さて、30分の幕間でお弁当を楽しみ、

続いて約1時間の三幕目が始まります。


「足利家奥殿の場」は、

伽羅先代萩の御殿の場です。


乳人の政岡が足利家の幼い主君、鶴千代を

悪の手から守ります。


政岡は善。

対する悪、鶴千代の命を狙うのが、

栄御前、そして八汐&仁木弾正兄妹です。


幸四郎さんの政岡から目が離せませんでした。

10役の中で一番に心惹かれました。


普段は立役をなさる幸四郎さんですが、

前幕の高尾太夫、累の前回以上の美しさにびっくりしたと思ったら、

政岡は美しいだけでなく、温かくて凛としていてドキドキしました。


猿之助さんの時も感じました。

襲名するとこんなにも人間が大きくなるのだと。

器を大きくしたら、大役がすっぽり綺麗に納まったというか。。


鶴千代の身代わりで死んでしまった自分の子、千松。

政岡は、人前では哀しみを一切見せず、

二人きりになってから悲しみを爆発させます。


役目を離れ、母として人としての悲しみが、

劇場に沁みていくようでした。

とてもリアル。


一瞬、幸四郎さんだということを忘れるくらい、

女方の役者さんでした。


博多まで来てよかったと思いました。


八汐役の仁左衛門さんにもびっくり!

八汐は見るからに意地悪(笑)

立役の役者さんが演じる女性の役です。


背が高いので大きく、迫力満点です。


私は2009年に政岡を玉三郎さん、八汐を仁左衛門さんで拝見しています。

記憶があやふやだったので観られただけで幸せです。


悪のオーラ全開。

仁左衛門さんの容赦ない気迫に、

幸四郎さんへの愛情を感じます。


1月の勧進帳で、吉右衛門さんの戦っているような富樫を思います。

仁左衛門さんもまた幸四郎さんに魂を繋ごうとしているよう。


普段はほとんど立役のお二人が、

舞台上で女方で対峙している絵だけでも興奮です。


余談ですが、

7月大阪松竹座の勧進帳は、幸四郎さんの弁慶に仁左衛門さんの富樫です。

拝見する予定なので、より楽しみになりました。


八汐の憎々しい引っ込みはたっぷりしていて意外でした。

仁左衛門さんも楽しんでいるのかなぁと感じました。


八汐と一緒に登場する沖の井は孝太郎さん、松島は笑也さん。

そして、栄御前には魁春さん。

本当に豪華メンバー!

全て眼福でした。


「足利家床下の場」では、待ってました荒獅子男之助の登場です。

床下で守護番をしています。

これも幸四郎さんです。


さっきまで政岡だったのに(笑)

あっという間に荒事。


政岡が手に入れた悪事の証拠の連判状を

鼠がくわえて持ち去ってしまい、男之助が捕まえようとします。


アクロバティックな鼠さんもすごい。

すばしっこくて結局は取り逃がしてしまいます。


実は、鼠は妖術で化けていた仁木弾正でした。

やはり幸四郎さん。


鼠がスッポンに入ると、

上がってくるのが連判状を加えた弾正です。


悪の象徴と言っても過言でない弾正。

本人が見える前からスッポンから妖気が立ち昇るよう。


幸四郎さんのカッコイイことったらありません。

伽羅先代萩では花道を引っ込みますが、伊達十は宙乗りです。


ひと言もセリフはありません。

姿が語るシーンです。

会場の空気が張りつめます。


この宙乗りは変わっていて、

弾正は全く姿勢を崩さず、まっすぐ立ったままの姿勢で足だけ歩みの動き。

悠々と宙を翔び、長袴が歩いているようになびいています。


鳥屋に入って姿が見えなくなってもしばらく拍手は続きました。

何だか夢心地でした。


そして2回目の幕間。


大詰は、立廻りあり、大〇が登場したり、屋台崩しや怒涛の早替りあり。


そういえば書いてませんでした土手の道哲!

生き生きして楽しそうな道哲幸四郎さんが、

さらに生き生きしてめちゃめちゃ面白くなっていきます。



思うまま書いている感想はもう少し続きます。




aya。





aya's lounge

歌舞伎に出合って 何だか人生変わりました。

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