盟三五大切@納涼歌舞伎
こんばんは。
朝晩の風が何となく秋めいてきました。
今日は歌舞伎座第三部に行ってきました。
「通し狂言 盟三五大切」
歌舞伎が好きな伯母をエスコートして歌舞伎座へ。
せっかくなので、と一階席から観劇しました。
このお話は2009年以来に拝見します。
当時、花形歌舞伎として上演され、
源五兵衛が染五郎さん(現 幸四郎さん)、
小万が亀治郎さん(現 猿之助さん)、
三五郎は菊之助さんでした。
全員が初役でした。
それに染五郎さんは家主さんと二役。
申し訳ないくらい家主さんを覚えていません。
今月の家主さんは中車さんです。
亀治郎さんの芸者姿はとても瑞々しくて、
菊之助さんとの夫婦役は新鮮でした。
今日は観ながら思い出がよみがえってきました。
源五兵衛は幸四郎さん、
小万は七之助さん、
三五郎は獅童さんです。
まず、三人のビジュアルが絵のように素敵!
花道の近くでしたので、
三人が通るたびに伯母は身を乗り出していました。
ストーリーはある意味で納涼向きかもしれません。
主人公が人を斬って斬って斬りまくる。
四世鶴屋南北の作品です。
忠臣蔵の続編として書かれたそう。
主人公の源五兵衛は、実は四十七士の不破数右衛門。
現在は浪人ですが、討入に加わりたくて、
どうにか百両を工面したい。
三五郎の父は、実は不破数右衛門に仕えていました。
主人 不破数右衛門のためにどうにか百両を作ってあげたい。
息子の三五郎は勘当中ですが、
父から百両の工面を頼まれ、
勘当を許してほしくてどうにか用意しようとしています。
だから三五郎の女房 小万は芸者をさせられています。
皆、「実は。。」というところを知らないがために起こる悲劇。
ある時、源五兵衛の伯父 富森助右衛門が、
仇討ちのためにと百両を持ってきたところから、
その百両を巡って物語が動きます。
お客を驚かせる演出もあり、
本気で驚いた方が思わず大きな声で驚いていました。
不気味なシーンもあります。
殺し場では歌舞伎ならではな演出があり、
外国の方は大喜びで笑ってしまうという(笑)
それでもリアルで美しいのは、
幸四郎さんがすばらしいからかと。
小万に騙されてどんどん人格崩壊していく
源五兵衛の幸四郎さんから目が離せません。
先月の松竹座の与兵衛の殺し場とは全く違う凄味。
与兵衛は元々内に持っている複雑な性格を感じましたが、
源五兵衛は裏切られてどん底に落ちていく。
どちらも怖いけど、
今月の残忍さは先月の比ではありません。
殺し場の後に花道を通ります。
近寄りがたい雰囲気。冷たい。
実際に会ったことはもちろんないけど、
殺人を犯した直後って、こうなのかな。。と想像しました。
大詰に向かってどんどん残忍さ、美しさが増していく。
襲名するとこんなにも全てが大きくなるのかと感動でした。
小万の七之助さんの色香は格別でした。
これはどんな男の人も惚れてしまう。
説得力ありありの芸者さん。
殺し場の哀しみ。
母としての嘆きには泣けました。
三五郎 獅童さんとの夫婦のビジュアルが素敵。
小万と二人で源五兵衛を騙し百両を狙っています。
でもそれは父のため。
悪行はするけど、何だか憎めない。
ラストの言動にも、優しさ溢れて心が揺さぶられました。
家主の中車さんが上手いんだな。
お客の目がこの方にいっているのがわかります。
場の空気が変わり、ふっと力を抜いて見られるユーモラスな感じ。
ホント、すごい人です。
’ますます坊主’の蝶十郎さんが面白かったり、
橋之助さんの頑張りや、米吉さんの瑞々しい美しさ。
男女蔵さんや片岡亀蔵さんも味がある。
上手いなぁと思う皆様がお芝居を固めています。
伯母も私も大満足でした。
不気味だけど面白い。
夏の雪もいいですね。
楽しませていただきました。
有難うございました。
aya。
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