幽玄@歌舞伎座
こんばんは。
今日は仕事帰りに歌舞伎座の幕見をしてきました。
気になっていた玉三郎さんの新作歌舞伎舞踊「幽玄」です。
熱海の先生に施術してもらってから、
デトックス期間が続いて少し体がだるい日が続いていました。
徐々にすっきりしてきたので、
同僚と話が盛り上がり「幽玄にいこう!」となりました。
とはいえ前半の’羽衣’だけですが。
二人で急いで歌舞伎座に幕見席のチケット売り場に行き、
着いたのが発売時間を10分くらい過ぎた頃だったでしょうか。
驚いたことにまだまだ座ることができる入場番号でした。
それから1時間弱で食事を済ませ、
いざ歌舞伎座へ。
★内容に触れますのでご注意ください。
’羽衣’は、とても異質な空間でした。
いつもの歌舞伎座なのだけど、歌舞伎座じゃない、みたいな。
こんなに太鼓芸能集団「鼓童」の演奏が、
世界を作ってしまうとは驚きました。
私は以前、赤坂ACTシアターで行われた「アマテラス」を観ました。
玉三郎さんの舞踊と鼓童のコラボレーション。
玉三郎さんの存在感と舞が圧巻で、
正直、演奏より舞の印象のほうが強かったです。
ですが、今回は能楽を題材にしていて、
玉三郎さんの舞は極限まで削ぎ落された天女の舞でした。
太鼓の印象が濃い。
天女の舞はまさに人で非ざるもの。
音は鼓童の演奏と謡。
そして、玉三郎さんと歌昇さんの少しの言葉。
どこまでも全てがシンプルで、全てが美しかったです。
始まりが斬新でした。
いつの間にか幕が開き、うっすら暗くなりました。
しばらくすると音もなく裃姿の鼓童の皆さんが、
まるで能舞台に登場してくるように下手から一列で入ってきました。
お客はざわつき、拍手が起こったけど、
その舞台上の静寂に惹き込まれるようにすぐに止んでしまいました。
広い歌舞伎座の舞台に一列に太鼓が置かれ、
まずは演奏が始まります。
一糸乱れぬ、とはこういうことをいう(笑)
叩き方の美学と言っていいのかわからないけど、
見た目も音はもちろん、心も一つになっているよう。
頭一つ動かない。
天の羽衣を拾う伯竜は、
歌昇さん萬太郎さん種之助さん弘太郎さん鶴松さんなど。
皆同じ姿で、これまた一糸乱れぬフォーメーション。
美しさは歌舞伎役者さんならではかと。
フォーメーションで風を表したりするのは面白かったです。
羽衣を纏った玉三郎さんの美しさは最高潮に達します。
やはりこの世のものとは思えない。
鼓童の皆さんが謡を語るのですが、
友人がグレゴリオ聖歌のようだと言っていました。
とても宗教的な雰囲気があり、
荘厳で、何だか浄化されていくような感覚でした。
ラスト、廻り舞台を使った壮大なシーンに雲を想い、
歌昇さん方が去っていく姿は、
夢が消えていくみたいに美しかったです。
歌舞伎座は音がよく響きます。
太鼓の音も謡も迫力あり聞きごたえありました。
私はここずっと’シンプル’に憧れています。
生き方をシンプルにしたい。
変な人かもしれませんが、
羽衣の舞台を観て、削ぎ落された中の美に、
人生が重なりました。
何だか憧れる。
かっこよかったのです。
私も自分の美学を持ちたいな。
歌舞伎座で鼓童もいいですね。
新鮮な気持ちで楽しめました。
有難うございました。
幽玄の幕見席はあまり混雑していないようなのでお勧めです。
aya。
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