傾城反魂香 2

こんばんは。


花粉症と戦う日々です。

それほど重症ではないけれど今年はキツイです。

猿之助さんを見て凌ぎます(笑)



昨日の雷船頭の余韻に浸っています。

今月の猿之助さんはたまらない(笑)

何度でも観に行きたくなります。


昼の部の「傾城反魂香」おとく役も然り。

女船頭ではクールビューティかと思いきや、

おとくは温かく優しい。


お話の後半、土佐将監閑居の場は通称「吃又」と言われます。



★ここからは内容に触れますのでご注意ください



幕開きは大勢の百姓が登場します。

寿猿さんを筆頭に(恒例のカンペ的なものを発見 笑)、

おもだか屋の皆様も多数います。


虎が村に現れ大騒ぎです。

この虎は前の場で元信が描いた虎。


絵師の土佐将監は絵から抜き出た虎と見抜きます。

そこで弟子の修理之助が自ら志願して退治をします。


虎より強い「龍」の文字をそらに書き、目を入れると、

見事に虎が消えてしまう。


この働きで修理之助は土佐の名字を

将監にもらうことができ一人前と認められました。


修理之助は高麗蔵さんです。

若い立役が凛々しい。いかにもできる弟子という感じでした。


そこにもう一人の弟子、又平と女房おとくがやってきます。


絵師の又平は吃りがあり思うように話せません。

おとくは口が達者な世話女房。


又平は白鸚さん。

おとくは猿之助さん。


師匠である将監に、

土佐の名字をいただきたいと願い出ます。


将監は彌十郎さん、門之助さんが奥様役です。

猿之助さんに縁の深いお二人が夫婦で登場するのが嬉しいです。


将監は名字を授けることを許しません。


又平に代わり、おとくがどんなにお願いをしてもだめ。

弟弟子の修理之助が名字をもらったことを聞き、

さらに懇願しますがいっこうに許してもらえません。


そこに狩野雅楽之介、鴈治郎さんがボロボロになってやってきます。

虎を描いた元信の弟子です。


前の場で、元信の奥様、銀杏の前を助けようと戦っています。

将監に助けを求めにきたのです。


ここでも又平の出る幕はなく、

弟弟子の修理之助に大役をもっていかれてしまいます。


又平はひどく落ち込んでしまうのでした。


白鸚さんは愛すべき又平でした。


今まで観てきた又平は、

ちょっと気難しい感じがしたのですが、

ほんわかして純粋な心を感じました。


猿之助さんのおとくは、

それが愛おしくてたまらないという。。。


夫のちょっとした仕草で感情をさっと読み取り、

瞬時に言葉にしたり行動したり。


表情も、微笑んだり困ったり切なくなったり。

夫の全てに呼応して一喜一憂している。


おとくという人は、

きっとそれが楽しくて幸せなんだと思う。


又平が悲しむと、おとくも悲しい。

名字をもらえず絶望して死を決意する二人。


絶望したおとくが

「手も二本 指も十本ありながら。。」

と又平の手をさする場面は、ふっと涙がこぼれました。

又平が悔しければ、おとくも悔しいのだと。


又平と手を繋ぐ場面が何回かあるのですが、

猿之助さんの手の表情の優しいこと!

もうこれにはびっくりなのです。


死ぬ前に絵を残そうと、

渾身の想いをこめて描いたあまり、

又平の手から筆が離れません。


指をほどいてあげる様子は、

言葉で表せないほどの感動で、涙が止まりませんでした。


この絵が奇跡を起こします。


まさに夫婦二人で起こした奇跡。

ここまでの夫婦の愛情が自然とそう思わせます。


二人が喜ぶのを見ていると、

こちらまで嬉しくなっちゃう。

よかった。。。心から思う。



猿之助さんがこういう’おとく’を演じるとは思いませんでした。


以前、壱太郎さんが猿之助さんに教えてもらい演じました。

その時は猿之助さんを妄想して観ていました。


でも違いました。

これほどまで空気がほんわかして、

雰囲気が丸い女性とは思わなかったです。


猿之助さんの進化は止まらない。

きっと見る側の私の心も進化しているのかも。



又平の側にいるだけで幸せなのだなあ。


こちらまで幸せな気持ちになりました。


有難うございました。




aya。



aya's lounge

歌舞伎に出合って 何だか人生変わりました。

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