盛綱陣屋。
こんばんは。
歌舞伎座「三月大歌舞伎」は初日から一週間経ちました。
まだ幸四郎弁天&猿之助鳶頭を観ていません。
少し先の楽しみにとってあります。
夜の部は期待どおりの面白さでした。
最初の演目「盛綱陣屋」は、
昼夜通して一番上演時間が長い演目です。
1時間45分あります。
それでも全く意識が遠のかず(笑)
それは仁左衛門さんをはじめとしたベテランの皆様と、
その方々に負けないくらい目がいってしまう子役さんたちのお陰です。
子役の活躍も楽しみの一つです。
今月は勘九郎さんの長男、勘太郎くんと、
寺嶋しのぶさんの長男、眞秀くんが出演しています。
源氏と、幕府の執権北条氏が争っている世。
佐々木盛綱、高綱兄弟は敵味方に分かれて戦うことになってしまいます。
盛綱は北條、高綱は源氏。
盛綱を演じるのは仁左衛門さん。
盛綱の子、小三郎は眞秀くんです。
じっと座っている時間が長い眞秀くんがとってもエライ!
ひと際小さい鎧姿が勇ましい。
本能なのか、お芝居の空気をちゃんと読んでいるのが素晴らしかったです。
小三郎の初陣で、
敵方の高綱の子、小四郎が捕えられます。
小四郎は勘太郎くんです。
仁左衛門さんの盛綱の甥にあたります。
私は桃太郎ぶりに勘太郎くんを観たような。
ものすごくしっかりして、立派な役者さんになっていました。
心憎いというか、すごいと感動だったのが、
仁左衛門さんの盛綱との無言のやり取り。
ちゃんと気持ちをのせて仁左衛門さんに届けていたから、
観ているこちらに確実にストーリーが伝わりました。
ちなみに。。
私は約3年ごとにこの演目を観ているようで。。
小四郎役は、左近くん、染五郎くん(当時 金太郎)、
福太郎くん(当時は一般の子役さん)で観ています。
皆さんが大きくなるのはあっという間。
きっと生涯一度のお役になるのではないでしょうか。
是非、勘太郎くんを観てほしいと思います。
敵味方に分かれたけれど、
盛綱は弟の高綱を想っています。
自分の主君に小四郎をいいように使われないよう、
また高綱を救うため、苦悩の末、
最善の道である切腹を小四郎にさせることにします。
切腹をするよう伝える役目は盛綱の母、微妙役の秀太郎さん。
秀太郎さんの出に圧倒されました。
すごいオーラです。
孫に死んでほしいと頼むのはどれほどのことか。
仁左衛門さんとのやり取りも見入ってしまいました。
それぞれの母たちも登場します。
高綱の妻で小四郎の母、篝火は雀右衛門さん。
盛綱の妻で小三郎の母、早瀬は孝太郎さんです。
お二人がキリッとしていて緊張感あって素敵です。
そして母の想いが溢れています。
篝火は子を追って陣屋まできます。
それを知った小四郎が子供らしくて健気です。
勘太郎くんはキマル形も綺麗です。
そこに盛綱の二人の家臣が順番にやってきます。
戦場の高綱の様子を知らせにきたのです。
信楽太郎は錦之助さん。
めちゃめちゃカッコいいではないですか。
伊吹藤太は猿弥さん。
めちゃめちゃ笑えるではないですか。
やはりこういう道化の役は右に出る者がいない(笑)
で、高綱を討ち取ったと!
高綱は登場しないので演じる役者さんはいません。
そして、北條時政が高綱の首を持ってやってきます。
時政は歌六さんです。
助六の意休をおもわせる豪快な髭!
どえらい人が来た感じで空気が変わります。
控える四天王は、
廣太郎さん種之助さん米吉さん千之助さん。
若々しいメンバーが揃いました。
米吉さんの立役はいつぶりに観たでしょうか。
とてもカッコイイです。
そして首実験。
時政は、高綱の首が本物かどうか盛綱に確かめさせます。
この場面の静寂と緊張感が気持ちいい。
まるでお客も真実を待つような空気です。
全てが仁左衛門さんの表情で伝わります。
首は高綱ではありませんでした。
そこで小四郎が、父上と呼び切腹してしまいます。
仁左衛門さんの苦悩するお顔。
小四郎は偽首とわからなかったのか、
それともわかった上で腹を斬ったのか。
勘太郎くんと無言のやり取り。
そして仁左衛門さんの悟ったお顔。
小四郎は父ではないとわかった上で切腹をし、
父を逃がしたい一心で、
首が本物と説得力を持たせるために切腹したのです。
盛綱も命をかけて、主君に嘘をつきます。
高綱の首だ、と。
時政は満足して帰ります。
ここから勘太郎くんの見せ場。
お腹に刀を突きさしたまま想いを語ります。
もう、ここは本当に観てほしい。
お芝居に感動するのと同時に、
その周りにいる仁左衛門さん秀太郎さん雀右衛門さん孝太郎さんが、
勝手な妄想ですが、小四郎ではなく勘太郎くんに感動しているように見える。
盛綱が、というより仁左衛門さんが勘太郎くんを褒めているよう。
この豪華な皆さんが、お客さんが、
一人勘太郎くんに集中している空気もすごい。
私は素晴らしい瞬間をともに過ごしているのだと感動でした。
どこかで生きている父、高綱が知ったらやはり褒めるだろう。
今月、側にいない勘九郎さんもきっと褒めていると思う。
小四郎は絶命し、
切腹しようとした盛綱はとどまることになります。
仁左衛門さんの盛綱は、知的で品があり、
何度観ても姿形が変わらないです。
はじめは難しいと感じたこのお話が、
一歩づつ近づけているような気になるのは仁左衛門さんのお陰だと思う。
盛綱陣屋、とても面白かったです。
また来週に拝見します。
有難うございました。
aya。
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