黒塚で結ぶ。
歌舞伎座「四月大歌舞伎」
千穐楽おめでとうございます。
私の平成が納まりました。
仕事がいつもどおりに終わったので、
急いで幕見席の受付に行くと、
立ち見になるかならないかという番号でした。
毎回ほぼ同じ時間に行っていました。
20番台だった頃からラストは立ち見へ。
どんどん人数が増えていきました。
幸い座れることができ、
日本人ばかりで千穐楽ならではな雰囲気でした。
箏の演奏は、生田流箏曲の流派のひとつ正派邦楽会の皆様。
ご宗家の中島靖子さんは今月4回演奏なさいました。
私は千穐楽にして今月初めて聞くことが叶いました。
ご宗家は、黒塚を作った二代目猿之助、三代目、当代、
と三代にわたって黒塚の演奏を担当してきました。
猿之助さんは「初演を唯一知る存在」として、
寿猿さんとともに時々お話しなさいます。
当代の黒塚で度々、拝聴してきましたが、
今月はタイミングが合わずやっと聞くことができました。
普段、平日は孫の雅楽之一さんがタテを務めていました。
今日は幕見席から見てもハッキリと白髪の婦人がわかりました。
そのお隣に雅楽之一さん。
何度も聞いたお陰か、
初日から聞いてきた音色と違うのがわかりました。
遠目で見ていると、
箏を弾いているのかいないのか。。
という印象で全く力みが見えないのです。
箏と一体になっているようにも見えるし、
音が体から響いているようにも思えて、
その広がりはまろやかで優しい不思議な感じでした。
岩手の踊りも違って見えて、
音が生きていて、
岩手の気持ちに寄り添うように包みこんでいました。
雅楽之一さんが千穐楽の感想として、
’終演後の猿之助さんは幸せそうだった’
呟いていらした。
それで腑に落ちました。
猿之助さんの集中力はものすごかった。
二景はご宗家の音色に、喜びや幸せを感じながら踊っていたのだなぁ。
薄ヶ原に一人。
阿闍梨様との出会いに幸せを感じたように。
今月の黒塚は猿之助襲名から観てきたものと違っていました。
初日から驚きの連続でした。
大向うや、少しの物音さえ違和感を感じる空間になっていた。
中でも二景の静寂は心地よいものでした。
怪我をしてから本興行で初めてのお家芸です。
何度も観てきた演目だと変化も顕著です。
何度も思いました。
神様が猿之助さんを生かしてくださったのには意味がある。
そして、まだまだ心身ともに完治なさっていない
猿之助さんの努力に感動なのです。
努力なんて、これっぽっちも見せないし語らない。
でも舞台を観て思う。
舞台復帰から観るたびに必ず進化しています。
今月も、全て観たわけではないけれど、
初日から千穐楽まで日に日に元気になり、
スピードとキレが増していきました。
攻めている姿勢に感動が止まらず、
何故そこまでするのか。。
足が劇場に自然と向かっていました。
どんどん力強くなっていく猿之助さんが、
明日への希望でした。
無事に幕が下りてよかった。
平成が黒塚で納めることができて幸せです。
終わりは始まり。
令和になって初めての猿之助さんは、
6月の歌舞伎座になります。
あ、でもまだ今日は金沢の公演がありますね。
応援しています。
私は心地よい余韻に浸りながら、
GWもお仕事です。
有難うございました。
aya。
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