新版 雪之丞変化。
こんばんは。
八月納涼歌舞伎はあと5日です。
カウントダウンに入りました。
弥次喜多はあと1回観に行きます。
これでしばらく!?猿之助喜多さんに会えないかと思うと寂しい。
大事に観たいと思います。
さて、先日に拝見した第三部のお話です。
「雪之丞変化」は、
テレビで長谷川一夫さん、滝沢秀明さん主演のものや、
猿之助さんが中日劇場や博多座で、
歌舞伎興行として行った作品を観ています。
猿之助さんの公演は楽しくて楽しくて、
私は雪之丞に惚れてしまった(笑)
原作は読んでいないけど、
映像や舞台は娯楽要素が強く、
登場人物がたくさんいて、
ラストは希望の光を感じて好きでした。
今回、玉三郎さんの演出で、
’新版’としてどう生まれ変わるのか楽しみにしていました。
思いもよらぬ演出に心が揺さぶられました!
こんな気持ちになるなんて想定外です。
私の中で雪之丞の人物像で欠けていたピースがはまり、
その憂いがさらに腑に落ちたのです。
今まで観た映像や猿之助さんが表から観た雪之丞だとすると、
玉三郎さんは裏から観た感覚なのです。
欠けていたピースとは、
雪之丞の心の奥深くにある闇、そして女方役者としての苦悩。
通常の雪之丞変化は、
表の顔は女形役者、
でも実は親の敵討ちをするため幼い頃から剣の修行に励み、
剣豪である裏の顔を持つ。
様々な人たちとの関わりの中で、心の成長もあり、
敵討ちを果たした後も強く生きていく。
ドラマティックで、
登場人物たちも個性豊かで面白かったのです。
それが、玉三郎さんは雪之丞の女方役者の部分に
フォーカスしていました。
雪之丞が役者としてどう生きてきたか、
幼い頃の不幸をどう乗り越えて役者として大成していくか。
妄想ですが、
それを玉三郎さん自身の苦悩と重ねて描いている感じ。
大成していくには、やはり’人’なのだと感じました。
いい師匠、いい先輩、そして星になった多くの先人たち。
出会い、導いてくれる人の温かさで、
前に進む勇気を持つことができるのだなぁと。
映像が多用され、
その代わりに大掛かりな舞台装置は何もない空間。
ぽっかり空いた雪之丞の心の中のよう。
想像が広がり、登場人物の心理に集中できました。
七之助さんは雪之丞の先輩、星三郎役。
劇中劇で八汐をしたり、
普段見ることができないお役をチラッと演じたり楽しい。
立役がかっこよくて、
これからも時々観たいと思いました。
五役をなさる中車さんがすごい。
早替りではなかったけど(笑)
それぞれのキャラクターを完璧に演じていました。
劇中劇の仁木弾正は嬉しい!
一部で幸四郎さんが演じていますね。
雪之丞の育ての親としての菊之丞もよかったけど、
闇太郎の粋な感じが好きでした。
やっぱり姿形が猿之助さんの闇太郎に似てるんだな(笑)
ダブルキャストの鈴虫役。
この日は坂東やゑ六さんでした。
狂言回しのような役まわりでもあり、
登場するとパッと雰囲気が明るくなって楽しかったです。
とても良いアクセントになっていました。
生で撮影してスクリーンに映す演出には驚きました。
歌舞伎座のバックステージはワクワクしました。
玉三郎さんはすごい。
すごいのはわかっているけれど。。。感動してしまった。
こういう角度で新版を作ってしまうなんて。
照明はほぼ暗い中で話は進みました。
ラスト、劇中劇の舞踊の時に最大に明るくなります。
光と闇は表裏一体。
上手く表現できないのですが。。
仇討を経て、光と闇、両方受け入れた強さを感じました。
私は純粋に雪之丞変化として楽しめました。
ますますこの話が好きになりました。
有難うございました。
aya。
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