出世の物語。

こんばんは。

今日から来月歌舞伎座「七月花形歌舞伎」の

松竹webでの先行チケット販売がスタートしました。


猿之助さん中車さん、そして海老蔵さん。

おもだか屋の皆様多数ご出演なさいますし、

巳之助さん右近くん米吉さんなど若手が大抜擢の配役になりました。


昼の部は「柳影澤蛍火(やなぎかげさわのほたるび)」と舞踊「流星」

夜の部は「荒川の佐吉」と歌舞伎十八番「鎌髭」「景清」


私は昼の二つが初見です。

「柳影澤蛍火」は全く想像できませんでした。

でも昨晩、先輩の’ふうせんさん’のblogを読み、俄然興味が湧いてきました(笑)


折しも今日、海老蔵さんのコメントが発表され、

柳影澤蛍火を上演するのは猿之助さんの発案だということがわかりました。

なんと!これを猿之助さんはやりたかったのですね。


4月の歌舞伎座でかかった「不知火検校」の作者 宇野信夫氏の作品です。

柳澤吉保が主人公。

徳川綱吉の時代に浪人の子が大名へ。

異例の出世を果たす人物です。


初演は1970年国立劇場。

ふうせんさんに教えていただきましたが、

当時宇野氏によって書き下ろされました。


吉保役は實川延若さん(今回海老蔵さん)

おさめの方役は芝翫さん(今回右近くん)

護持院隆光役は猿翁さん(今回猿之助さん)

綱吉役は彦三郎さん(今回中車さん)


初演も今回も濃い(笑)

隆光役は、その後は富十郎さん、3年前に扇雀さんが演じています。


初演の他、2回しか上演がありません。

しかも東京では初演ぶり。

3年前は松竹座で吉保を橋之助さんが演じました。

その時の扇雀さんのblogをふうせんさんに教えていただき読みました。

あ、扇雀さんのblogは読むとかなりネタバレしますので、

知りたくない方は読まないほうがいいです。


私はネタバレ承知で読みました。

少し勉強ができてよかった。


内容とは関係ない話で驚いたのは、

勘三郎さんも上演したいと思っていたそうです。

そして、演じた橋之助さんも切望した。。と。


何なの!?猿之助さんもやりたいと言い、

勘三郎さん橋之助さんまで!

こうなると俄然観たくなるわけです(笑)


ストーリーが魅力なのか、人物が魅力なのか。。

隆光役は猿翁さんが演じ、次が富十郎さんって。。

失礼承知で言いますが、絶対やっかいなキャラだと思う(笑)

逆に扇雀さんは爽やかそうだから大変だったのでは?

猿之助さんがどう役作りをしてくるか楽しみです。


松竹歌舞伎会会報誌「ほうおう」の中に宇野氏の当時の言葉があります。

「私は私の筆法で、柳澤吉保という元禄時代の人物が、

浪人から老中にまで出世する運命を書いてみました~

吉保が栄誉や財産も’空’なることをさとって~」


吉保は悪を尽くして出世するということですが、

どうやらそれだけではなさそうです。ワクワク。


そして、気がついたのです。

夜の部「荒川の佐吉」も一人の男が出世するお話。


出世は出世でも、やくざの世界です。

大工の佐吉が転職!?し、憧れてやくざの道へ。


下っ端から親分になっていく。

でもそれは悪行を尽くすのではなく、

佐吉の人間的な成長がそうさせていく。


強い者が勝ち、弱い者は負ける、そう信じてやくざ道を進む佐吉。

ひょんなことから目が不自由な赤ちゃんを育てることになり、

7年間、大工仲間の辰五郎の助けもありながら、男手一つで育てます。

そして、子供の幸せを願い、ラストにある決断をします。


昭和7年に初演され、セリフ劇で知られる真山青果氏の作品。

十五世羽左衛門が

「最初はみすぼらしくて、最後にぱっと桜の花の咲くような、男の芝居」

とリクエストをして書いてもらった話は有名です。


江戸っ子の私はこの話が大好きです。

佐吉を猿之助さん、大工仲間の辰五郎を巳之助さん。


このコンビを仁左衛門&染五郎、染五郎&亀鶴で拝見しました。

猿之助&巳之助は「上州土産百両首」のコンビを想います。

とうとう歌舞伎座で観ることができます。


そして、猿之助さんと中車さんのセリフ対決も楽しみです。


桜舞う中、猿之助さんの旅立つ姿が目に浮かびます。

私は来月、佐吉に惚れる予定(笑)


昼夜ともに一人の男が出世をする話。

「出世」という言葉は仏教用語「出世間」が略されてできました。

出世間とは「俗世間の煩悩から解かれて、悟りを得ること」とあります。


吉保も佐吉も、きっとラストはこの境地に至るのだと妄想しています。

外身だけでなく、色々な経験を経て内面も出世していく。


海老蔵さん、猿之助さんがそれぞれの人生をどう生きるのか。。


チケット先行発売は始まりましたが、

一般発売は12日からです。


今月とは全く違う猿之助さんに会えます。



aya。


aya's lounge

歌舞伎に出合って 何だか人生変わりました。

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