月の光@狐忠信
こんばんは。
歌舞伎座は千穐楽まであと3日になりました。
今だ余韻に浸っています。
三部の感想を少し書き留めておきます。
第三部「狐忠信」の最初は「道行初音旅」
義経の後を追う静御前と家来の忠信、二人の道行。
清元と竹本の掛け合いの舞踊劇です。
猿之助さんが忠信なので、おもだか屋型で上演です。
幕開きに静御前が板付きで登場したり、
ラストに蝶々が登場して狐の本性を現し、
ぶっかえって狐六方で引っ込むのがおもだか屋型。
幕開きの染五郎さんの静御前はすごく可愛らしくてドキドキ。
お顔がほんわかしていて、のんびりさんな雰囲気。
あの阿弖流為かと思うとホントにすごいです。
かたやスッポンから登場する猿之助さん。
上がってくると同時に、
スッポンから妖気みたいなものを感じたのは久しぶりでした。
忠信は観るたびにオーラが増し、どんどんカッコよくなっていきます。
七三で静の匂いを嗅ぐところなんて目が釘付け(笑)
誰よりも動物的。
二人は主従の関係ですが、とってもドキドキします(笑)
主従だけど、それだけではない。。
信頼とお互いへの情で繋がっているのだと観て想う。
それに上手く言葉にできないのですが、
染五郎さんがお相手だと、
吉野山にこういう響きが生まれるのだ。。という感じ。
ベテランの皆様相手ももちろん楽しいです。
でも、勘九郎さんと「黒塚」をなさっていた時の感動と同じです。
同世代の’同士だけどライバル’みたいな関係にゾクゾクするのです。
猿之助さんが、今まで観たことがない雰囲気に感じました。
きっと、勘三郎さんと三津五郎さんの踊りを観続けてきた方は、
こんな気持ちを味わっていたのではないかと想像します。
いつまでも二人が共演する姿を観ていきたいと願いました。
忠信のお顔が凛々しい。
きっちり主従のけじめをつけた感じが素敵です。
だから余計に鼓に頬ずりしているところが可愛い。
その最中に静に肩を叩かれ、一瞬、キッ!となるお顔もいい。
ここだけ反抗期になる(笑)
猿之助さんの舞は言わずもがな。
衰えないジャンプ力はブラボーでした。
それにしても延寿太夫の清元に癒されます。
私は清元が好きです。
血が反応して、全身が解放される感覚に包まれます。
江戸っ子だなぁと思える瞬間です。
猿弥さんの藤太はすごい(笑)
初日は滑って近づく猿弥さんに染五郎さんは素で笑ってました。
猿之助さんは、悔しいから滅多に笑わない(笑)
というか猿弥さんにはもう慣れっこですね。
猿弥さんのテンポと間がおかしみたっぷり。
おもだか屋チームとの掛け合いもさすが。
ここだけで大満足しちゃうくらいです。
知っているメンバーで埋め尽くされた歌舞伎座の舞台は嬉しいです。
もうそれだけで胸がいっぱいです。
花道の静の引っ込みも素敵でした。
ゆったりしていて真っ直ぐに義経に気持ちがいっている感じ。
はぁ~とため息出ちゃうほどでした。
差し金の蝶々が出てきて、それをきっかけに狐の本性が現れます。
余談ですが、ずんこさんと歌舞伎座ギャラリーに行った時、
差し金の蝶々を実際に体験しました。
すっごく難しい(笑)
体験してから観ると感動もひとしおです。
澤五郎さん素敵!
そして、そこからはもう猿之助ワールド。
段之さんと息を合わせてのぶっかえりは、ひゃーッ!(笑)
初日よりスピードアップしているではないですか!
こんなに早くぶっかえる人は猿之助さんしかいません。
そこから花道海老反りに狐六方。
とってもエキサイティングです。
あのラストの勢いがまさに猿之助さん!
私の心拍数も一緒に上がっていく(笑)
こんな吉野山が観たかった~と想わずにはいられません。
「星満々たりと云えども 月の光に勝つこと叶わず
ならば手柄に からめてみろ」
忠信が藤太に言う言葉です。
過去に猿三郎さんが紹介していて好きになりました。
初日は私の心が響かなかったのに、
今週観た時は言葉が心に届きました。
猿之助さんがすごくたっぷり言っていたように思えたし、
めちゃめちゃカッコよくてキュンとしてしまった。
猿之助さんの狐忠信は月の光。
たくさんの星たちの光も叶わない。
強くて柔らかく、情に溢れている。
優しさを感じる光。
お二人の舞と清元は、空間を吉野山にしてくれました。
桜満開のもと、私も道行を楽しんだ気分です。
また是非、お二人で魅せてほしい。
有難うございました。
aya。
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