宙乗りなら猿之助。
こんばんは。
歌舞伎座はあと2日です。
早いもので来週には7月公演の初日。
猿之助さんの三か月連続の一か月目が結びになろうとしています。
第三部「狐忠信」の二つ目。
三代猿之助四十八撰の内 ’川連法眼館’
通称「四の切」についてはしつこく書いてきました。
何回観たか数えていないけど、
猿之助さんが「一生やり続けたい」とおっしゃるように、
一生観続けたい演目ですし、お役です。
新歌舞伎座で初めて宙乗りする役者さんは猿之助さん。
きっと皆そう期待していたはず。
私は旧歌舞伎座で宙乗り自体を観ていないので、
歌舞伎座で初めて観ることになりました。
それが念願叶い猿之助さんでということは一生の記念です。
今月は義太夫が葵太夫とあり、心の底から嬉しく、
猿之助さんが心地よく糸に乗っているように見えて楽しかったです。
義経がいる吉野山山中の川連法眼館に忠信がやってきます。
猿之助さんはまず本物の忠信で登場です。
以前おっしゃっていました。
本物の忠信の方が難しい。。と。
ここで人間の忠信をしっかり印象付けることで、
後半の子狐が化けた忠信がより活きてきます。
もしかしたら、初演時から各段に進化したのは、
狐忠信ではなく本物の忠信の方なのだと今月は強く感じました。
花道の出がカッコいい。
凛としていて落ち着いた中でも、義経に気持ちが集中していて。
義経を見て、近づいていく様子が素敵です。
ゆったりしてるけど、会いたい気持ちが先に行っている感じ。
すごく風格が増しました。
静の話から、もう一人の自分がいて、
ここにやってきたと聞き、心ざわつく忠信。
揚幕の方を気にしつつ、駿河と亀井とその場を去ります。
松也さんと巳之助さんと三人でたっぷり裏表になり、
引っ込む様子にときめいた(笑)
猿之助さんが揚幕の方を気にすればするほど、
お客もそちらの方に意識がいきますよね。
その後の階段からの登場はびっくりするし、早くて美しい。
狐言葉は息継ぎまで変えて、高低つけて可愛らしい。
初日と20日過ぎの印象が全く違いました。
変わったからか、笑いがあまり起きなかった。すごい!
この日だけかもしれませんが(笑)
意図的なのか声帯の加減なのかわからないけど、
試行錯誤というより、役の気持ちの自然な進化なのかな。。
鼓をいただいてからがひと際可愛い。
笑顔も全開。
こんな笑顔は狐忠信で観たことがないくらい全開。
ケレンはキレキレ(笑)
穴に落ちて一瞬で早替りするのは、以前より早い!
百廻りも、初演時のドキュメンタリーよりも早い!
コンマ1秒でも早く。。今も進化する猿之助さんに感動です。
笑也さんの静御前は艶があって美しく、
優しさがにじみ出ていて温かいです。
門之助さんの義経は貫禄あって情があって好きです。
寿猿さんも吉弥さんもいらっしゃるだけで嬉しい(笑)
荒法師の皆様も別人のように進化していました!
毎日やり続けることはこんなにも深まるのですね。
エキサイティングで楽しい場面に、私もついつい体が動いてしまいました。
そして、猿之助さんの宙乗り。
「吊られているようではなく、宙に乗らないといけない」
三階から拝見し、本当に宙を舞うよう。
胸に熱いものがこみあげてきて、涙が出ました。
ルフィしか観ていない方は随分短い時間に感じるかもしれません。
ワンピースが特別な宙乗りでした。斜めでしたし。
歌ったりエアギターのほうがレアです(笑)
でもその宙乗りで会場は一体化しました。
ワクワクドキドキすることができた。
ワンピースを経て、宙乗りしている時も、
猿之助さんが少し変わったと思うのは私だけなのかな。
楽しんでもらうことが、全ての人の力になり明日に繋がる。。
ワンピースを経て、自分がどう変わったかわからないと言ったけど、
今まで以上に優しさ、楽しんで!という気持ちが込められているよう。
一瞬、ルフィを想いました。
この歌舞伎座がオールスタンディングしたら面白い。
歌舞伎座のお客は立つのだろうか(笑)
「宙乗りなら猿之助」と言ってもらえたようで嬉しい、
と歌舞伎座初に対してインタビューでおっしゃっていました。
客席でも「猿之助の宙乗りが観たい!」という空気をバンバン感じました。
今月は、一部から二部まで多くの人物が亡くなり、涙する。
だから余計に三部が明るく幸せ。
人の世ではなく、狐の親子にホッとする。
ラストはまさに会場がピンク色になったかのようでした。
少し驚いたことがあります。
けっこう前半でも会場から笑いが起きてました。
それはきっと’猿之助さん’を観に来ているお客さんが
多いということかな。。
義太夫と笑い声が微妙に雰囲気違いだったり。。
そういう方たちにとってはファンタジーなのかな。。。
私は入り込みすぎて、現実の話のような気分になってしまう。
本物がいるのに、もう一人がるなんてハラハラしちゃう(笑)
忠信を観てたらサスペンスか!みたいな。
後半はメルヘンなのですが(笑)
そのメリハリが好き。
見方は人それぞれなので、人間観察もまた楽し。
私の見方が変わっているのかも(笑)
いろいろな発見があった四の切でした。
今月の「義経千本桜」サイコーに楽しませていただきました。
有難うございました。
千穐楽まで何事も起きず、
いつもの舞台でありますよう願っています。
aya。
0コメント